28.う・ら・め・し・やぁ~
モンスターに破壊されるからなのか、単純に辺境でコストが見合わないからなのか街道はただ踏み固められた地面がむき出しになっている。
そんな街道をオレたちが乗る荷馬車は馬に引かれおそらく時速10キロ未満の一定のスピードで進んでいく。
地面がむき出しなのでときどき小石に車輪が乗り上げて表紙に荷馬車が揺れるので道具屋で買った毛布が衝撃対策に早速役に立っている。
リングさんが御者をしてレイナさんがそのとなりで前方の警戒をしている。
美人のすぐ隣に座れるなんて羨ましいんだ。
≪ポーカーフェイス≫さんが仕事をしなければ絶対顔に出ていたに違いない。
オレも御者の仕方を絶対覚えるんだ。
今度こんな重要な機会をふいにするわけにはいかない。
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やる気ポイントを5獲得しました。
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うん、やる気も十分みたいだ。
≪なまけもの≫もオレを応援しているように感じる。
しかし、リング以上に羨ましい、いや許せないのは我が使い魔だ。
≪ポーカーフェイス≫さんと≪冷静≫さんが仕事をしていなかったらきっと血の涙を流しながらパッシーをにらみ殺していたに違いない。
そんなヤツはティリスさんの膝の上でティリスさんに撫でられている。
頭の上にあのお胸様が当たっているんだから仕方ない。
いくら仲間でも仕方ない。
むしろ仲間だから許せない。
「ティリス!次は私がパッシーちゃんを撫でるんだからね!」
なぜかレナちゃんはパッシーのことがえらく気に入ったようだ。
馬に乗って周りを警戒している途中で何度もティリスさんに言っている。
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やる気ポイントが50アップしました。
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隠しきれないやる気が溢れているようだ。
「ブッブヒ。」(あ、主、許してくれ。オレも好きでこうしてるわけじゃないんだ。)
おかしい。
パッシーがすごく脅えている。
いくらパスが繋がっていても≪冷静≫さんおかげで心は冷静なはずなんだが。
まぁ、大丈夫だこれが原因でパッシーに害をなすことはないはずだたぶん。
「(パッシーなにをそんなに脅えている。オレが頼んだんだから怒ってるわけないだろ?)」
小声でパッシーに伝える。
これでパッシーも安心するだろう。
ちなみにジンはオレの隣で毛布に包まって寝ている。
恰好が子供だからかみんな特に気にしている様子はない。
「ソラさん、どうしました?」
オレとパッシーのやり取りを感づいたのかティリスさんがオレに声をかけてきた。
声をかけられた理由はどうあれこのチャンスをものにしてティリスさんとの好感度を上げるのが今の至上命題だ。
「いえ、特にどうしたと言うわけではないのですが、ティリスさん達3人がパーティーを組んでいるのはもしかして同じ村の出身だからなんですか?」
「いいえ、違うわ。今向かっているファルスのギルドで受けた講習を一緒に受けたのがきっかけで3人でパーティーを組むことになったんですわ。」
「へぇ、ギルドで講習が受けれるんですか、オレもファルスについたら受けてみます。オレは特に冒険者として必要な知識がまだまだ足りませんからね。」
「それがよろしいかと思いますわ。初心者には有用な知識が得られると思いますわ。」
そんな風に何とかティリスさんとお話しができてテンションが上がっているとずっと自動で使っていた≪プログラム・魔力感知≫が森からこちらに向かってくるものを感知した。
「ティリスさん右手の森から何かが向かってきてます。」
「あら、ホントですか。レナより早く感知できるなんですごいわね。」
あれ。初心者のオレが言ったことをあっさりティリスさん信じたの。
いや褒められて嬉しいんだけど、なんでなんだろ。
「レイナ、リングさん右手から何か来ます。」
パッシーは定位置であるオレの頭に乗ってきた。
毛布に包まっていたジンも起こした。
「ソラ、敵か!オレはいつでもいけるぞ。」
さっきまで寝てたヤツがいきなりなにを言っているんだ。
ジンはもしかして戦闘狂なのか。
これからも一人で突っ込まないように注意しとかないとな。
「いや、今回は待機だ。レイナさん達の戦い方を見さしてもらおう。3人と別れた後はよろしく頼むよ。」
ジンは若干不満そうだけど頷いてくれたから大丈夫だろう。
リングさんがゆっくりと馬車を止めるとレイナさんとティリスさんが馬車から降りて、レナちゃんも馬に乗ってそばに来た。
「ティリスがレナより早く気が付くなんて珍しいね。」索敵はレナさんが一番なんですね。
「いえ、今回はソラさんが気づいたようですわ。」
「「えっ!」」
そうですよね。
普通Fランクの人がBランクの人より先に気づくのかって思いますよね。
「あ、ホントだ来る。」
ここでレナちゃんも気が付いたみたい。
う~ん、Bランクの人より先に気づいてめんどうなことを聞かれなければいいけどね。
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