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27.閑話 美人《団長》の事情


これはソラがギルドで登録を終えてエレナと別れたあとの話。



エレナはギルドから帰ると自分の執務室でこの数時間で溜まったいくつ書類を片づけている最中に『コンコン』とドアをノックする音が部屋に響き渡った。


こんな時間に自分を訪ねてくるとなるとおそらく今日のことを確認にレイドあたりが来たのだろうと当たりをつけた。


書類の片づけも一段落ついたのでエレナはそのまま部屋に入ってもらうことにした。


「どうぞ。」


エレナの返事を待って入ってきたのは予想どおり彼女の副官であるレイド・フォーグが入って来た。


「仕事中失礼するぜ。団長」


レイドは部屋に入ってくるとソラと対面したときと違ってエレナの正面に置かれた来客用のソファにドカっと腰を下ろした。


「どうしましたかレイド?」


レイドがここに来たのは十中八九ソラさんに関することだと分かるがこの機会にレイドの思考に刺激を与えようとエレナは考えた。


レイドは優秀なのだがエレナは思考も幅をもっと広げてほしいと常々考えていた。


「団長のソラに関する感想を知りたくてな。」


「ふふ、それはどうしてかしら。」


レイドの思いは何となく分かるが彼自身にしゃべって思考を刺激させる。


「まぁ、世界の壁側から来たのは人が来たのは初めてのことだし不思議だけどよ。団長から聞いた限りじゃスキルも称号も目立ったものはないし。むしろあの年でLv1なんて今まで一体どんな楽な生活していたんだと思うよ。そんなヤツを団長自らギルドに案内するなんて、『なんでだ』と疑問に思うよ。」


首をひねりながら理由を述べる。


レイドがやっても全く可愛くない。


これがエレナなら比べるまでもないが。


「まぁ、彼はかなり興味深いわね。ちなみに彼が持っていたスキルを覚えてるかしら。」


両手を組んだ上に顎をのせながら質問する。


ソラがこの場に居れば大量のやる気ポイントを獲得したに違いない。


勿体ないことだ。


「確か、アイテムボックスと弓道と大声だったかな。」


ソラのスキルをスラスラと述べる。


すぐに答えれるのはレイドが優秀な証だ。


しかしエレナはそれ以上を望んでいる。


「それでそのスキルについてどう思うのですか?」


聞きたい答えではなかったのかさらに質問を加えた。


「アイテムボックスは少し珍しいですかど、10人いれば1人は持ってるし、弓のスキルは誰でも取得できるし、大声なんて子供でも取得できるスキルですね。団長の質問の糸がつかめませんね。」


もう降参と両手を挙げて答える。


思ったよりレイドが早く降参してきた。


諦めが早いのもレイドの欠点といえば欠点だ。


思考訓練はまた次の機会に行うことにする。


「レイド、ギブアップが早いですね。まぁ仕方ありません。おそらく彼は流民ではないかと思ってします。」


「いや、それはないでしょう。流民といえば伝説の英雄ソージと同じですよ。英雄ソージといえば数々のユニークスキルや称号を持ちドラゴンを片手間に倒したと言われる比類なき強者ですよ。まだローガ帝国の密偵のほうが遥かに信憑性があります。まさか同じソの字を持つからじゃないですよね。」


「レイド、あなたは優秀だけど、常識的な考えだけじゃなく突拍子もない考えもできるようにすべきよ。特に格上を相手にする場合は特にね。まぁ、今日はいいけどね。1つ目の理由は彼がおそらく転移して来たということ。流民はこの世界とは違う世界から来たと言われているわ。つまり転移してきたということ。2つ目の理由は彼があの年齢でLv1だと言うこと。あの年齢でLv1なんてなろうとしてもなれないわ。ある文献には英雄ソージも初めてその存在が確認されたときはLv1だったのではと記されてる。少なくとも非常にLvが低かったことは確実よ。極めつけは弓道というスキル。レイドが誰でも取得ができるといった弓系武技スキルだけど、短弓術・長弓術・弓術・弩弓術などいろいろあるけど弓道なんてスキルは聞いたことないわ。そのうえ道という名が付く武技系スキルもないわ。唯一歴史上出てくるのは英雄ソージが聖剣術を覚える前に使用していたといわれる剣道スキルだけ。これだけ揃っていれば流民である可能性は非常に高いわ。」


さすが『姫軍師』と言われる団長だとレイドは思うが、そうするとなぜ彼を手元に置かなかったのかと不思議に思う。


特に今の情勢下においては。


「団長の予想が当たっていたとして、どうして彼をそのまま行かせるんですか?現状からして手元に置いておくべきでは?」


「はぁ、レイド。彼はステータスを≪偽装≫していたのよ。そんな彼を縛るようなことをしても友好関係を築けないわ。そんな人では現状を打破するためには役に立たないわ。」


「真実の瞳を偽装しているのは信じられませんがそれは置いておくとしても、彼がどこにいるか分からないより。手元にいたほうが役立つと思いますけど。」


「大丈夫よ。もし英雄と同じ流民ならギルドへの推薦や短剣の効果などに恩を感じてくれるわ。英雄と同じなら必ずその恩を返してくれるわ。加えて言うなら彼、私のことを少なからず好意を持っているみたいだし。」


まさか団長が推薦して尚且つ短剣まで渡しているとは驚きである。


「しかし、そうすると彼がこちらに来てくれなかったら困りますね。」


「それは大丈夫よ。彼は私が利用しようとしているのは分かって短剣を受け取ったわ。その後も好意的だったしね。それにこのことは保険のひとつよ。」


今このノースエンド王国は内乱の危機が迫っている。


ただそんな話は彼女らの間以外では出てこない。


彼女が知ったのもある貴族にあったときに真実の瞳で反逆者の称号を見てしまったからだ。


しかもその人物は誰が見ても王国のために心血を注いでいると思わている。


エレナも実際に称号を目にするまでは同じ思いだった。


「はぁ、私の考え過ぎならいいのですが・・・。」

できず美人上司にあこがれる方。『評価』『感想』『レビュー』『ブクマ』をお待ちしています。

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