239.ドラゴンVSジン
「グギャギャ!」
ドラゴンが2発目のブレスを使わないように牽制に使った《機関銃》は十分に役目を果たしている。
赤い軌跡を受けたドラゴンはまるで巨人からジャブでも喰らったかのように仰け反り高めた魔力を霧散させた。
ジャブはジャブでもハードパンチャーのジャブだったらしく血を至る所から流している。
しかし高い《再生》スキルを持つドラゴン目に見えて流血は治まり始めている。
「今回は俺がメインなんだからソラは本気出すなよ!」
ドラゴンは俺の獲物だとジンが主張するが本気を出すなとは《断絶》を使うなってことかな?
さすがに《機関銃》は使わないとブレスを放たれたら堪らないからな。
そんなことを思っている内にゼンキ、ゴキ達はすでにワイバーンに襲いかかっているようでワイバーンの悲しげな叫びがあたりに響く。
空を飛ばれたらゼンキ・ゴキでも苦戦しただろうけど飛べないワイバーンなどただの大きなトカゲだと言わんばかりに圧倒している。
ジンがドラゴンを相手する前にワイバーン達は退場するかもしれないな。
「グギャガ!」
「おりゃ!」
ゼンキ・ゴキ達の様子を見ている間にジンとドラゴンのタイマン?が始まったようだ。
ジンは様子見無しの全力全快で戦いに望んでいる。
《竜魔闘気(纏・風雷)》に鬼神化を使用するとは短期決戦を挑むほどの実力をこのドラゴンは持っているようだ。
ドラゴンはその巨体に似合わず早く鋭い動きで両手の竜爪をジンに向かって振り卸す。
ジンもさすがにドラゴンの重い一撃を受け止めることはせずに持ち前の身体能力をいかんなく発揮してかわす。
力ではドラゴンが勝っているだろうがスピードではジンが勝っている。
その証拠にドラゴンが竜爪を振り下ろす度にドラゴンの体を覆う鱗が宙を舞い血が地面を濡らしている。
振り下ろした竜爪を振り上げるときに力の向きが変わるとき一瞬に動きが止まるのを見極めたジンが両手に持つ2本の斧でドラゴンの体を削っているのだ。
高いレベルの《再生》スキルを持つドラゴンはジンから受けた傷を次々と修復しながら怯むことなくジンに襲い掛かる。
しかしジンはさらにギアを上げて攻撃の回転速度をあげた。
初めから全力で攻撃していたように見えたのに一体どこに余裕があったのか。
ドラゴンの≪再生≫速度を上回るスピードで次々に傷が増えていくことに耐えられなくなったのか空に飛び立つには至らないが両足と翼の力を振り絞ってジンとの間合いを開けた。
ジンも強者であるドラゴンが間合いを取るとは頭になかったのか一瞬動きが止まってしまった。
その一瞬でドラゴンに変化が表れた。
全身を発光させながら体を変異させ始めたのだ。
ジンはドラゴンの変異を待つつもりのようで両手を下げてリラックスしながらドラゴンに視線を向けている。




