236.王都へ
王都へ向かう途中で魔物の襲撃があるかと思ったがそんなことは無かった。
王太子が逃げ出したことは分かっているから何かしら仕掛けてくると思ったけど魔物に城の警備をさせているくらいだからホントに人材不足なのかな?
「エレナさん、なんでレジル派の連中は仕掛けても無いのでしょうか?帝国が後ろについているのですよね?」
国の情勢などに詳しいだろうエレナさんに聞いてみた。
「まず帝国に関してだがレジル派に勝たせることではなくできるだけ内乱を長引かせて我が国の軍事力を磨耗させることが狙いなのだろうからレジル派が圧倒するような援助はしないと考えられる。それに加えてレジル派の連中はほとんど文官だ。恐らく攻勢にでれる部隊はない。フォルスを襲ったゴブリンとオーク、それにエンドを襲ったハーピーが攻勢用の部隊だったのだろう。」
そんな脆弱な軍備でなぜ他の貴族を従えれてたのだろう。
少なくともレジル派に攻勢にでる貴族は居なかったようだが・・・。
「ソラの考えていることは分かるよ。レジル派が何故王太子派の貴族を抑えれたのかと言えば、まずは王太子を人質にとられたこと、そして3種のキング種を手ごまとして持っていたことだ。キング種と言うのはとても厄介で同族の魔物を従えることができるんだ。だから国中にいるゴブリン、オーク、ハーピーがレジル派の兵力として使えるたんだよ。いつ終わるかも分からない魔物との戦闘で兵力を消耗したらそれこそ帝国の思う壺だと考え我々は下手に兵力を使わないようにしていたんだ。ただそれもソラがオークキングとゴブリンキングを討伐しハーピークィーンを私が討伐したことで変わった。」
確かにゼンキとゴキが命令するだけでゴブリンやオークが大人しく行動していたな。
恐らく一度に従えられる数は限られているのだろうが減ったらまた集めるだけですぐに兵力は回復できるとレジル派は考えていたんだろう。
「となると王都に付くまでは何も無いかもしれませんね。」
俺の言葉にエレナは大きく頷いた。
「もしレジル派が抵抗するとすれば王都での決戦となるかもしれない。できるだけ王都の民に被害を出したくはないがレジル派の連中がどう動くかは分からない。」
少なくとも王太子を助け出すときに聞いた大きな鳴き声の魔物がまだいる。
俺の隠密を見破るほどの魔物だ。
十分注意しないといけないな。
「王大使殿下を救出した際に魔物の大きな鳴き声を聞いた。」
「その話は王太子殿下から聞いている。なので最低でも一回は魔物の襲撃があるはずだ。そのときはすまないが頼む。」
エンドを出発してから5日目。
太陽が真上に差し掛かる頃、王都の城壁が見えてきた。
ここに来るまでにいくつもの貴族が集まり兵力が4万近くまでに膨れ上がっていた。
一国の兵力としては少ないがレジル派の予想兵力(魔物を除く)は1万の4倍である。
エレナ直属の部隊は別にしてそれ以外の後から合流した兵士はどこか緊張感のない顔をしているように見えた。
「グギャァ!!!!!!」
そんな心配をしていると王都から魔物の大きな鳴き声が聞こえてきた。




