２３４．エレナさん・・・。
王太子と別れた後エレナさんに客室に案内された。
今日はここで休んでほしいとのこと。
明日の朝今後のことを話し会うために呼びに来ると言って別れた。
俺はプライベートワールドに戻ってみんなに現状を説明した。
ジンとパッシーには呆れられ、セバスは無反応、他のみんなは予想通りと言う顔をしていた。
妻三人はエレナさんの話を聞いたときからこうなることを予想していたらしい。
仮に始めどんなに断っていても最終的には受け入れるだろうとのことらしい。
心当たりが在り過ぎて否定できない。
「旦那様、部屋に誰かきたようです。」
部屋に？
「え？ここに誰か来たの？でもみんなここにいるよね？」
俺とセバス以外にプライベートワールドへの扉は開けれないはずだ。
「いえ、プライベートワールドの外の部屋に誰かがきたのです。」
・・・・・。
ええ、もちろん分かってましたよ。
「・・・・ゴホン、ちょっと見てくる。」
気まずさを誤魔化しきれていないが気にせずそのまま様子を見に行こう。
割り当てられた客室に戻ると弱弱しいノックの音だけが寂しく響き渡っていた。
「ソラ殿～、もう寝てしまわれたか？」
エレナさん？
今までのエレナさんらしくない小さな声が聞こえてくる。
扉をそっと開けると・・・・。
へ？
俺の目がおかしくなったのか？
それとも幻覚？
状態異常無効を持つ俺は幻覚にはかからないか。
ってことは現実ですか？
「え～っと、なぜに寝間着？」
かなり控え目に言って寝間着姿。
見たまんまを言うとほぼ下着姿でエレナさんが立っていた。
「ソラ殿、この姿で廊下にいるのは恥ずかしいので部屋に入れてもらえないだろうか？」
恥ずかしいならそんなカッコしなければいいのに俺は目の保養になってありがたいけど。
「う、うん、どうぞ。」
エレナさんの訴えでようやく俺は扉を大きく開いて部屋に招きいれた。
扉を閉める前に廊下に誰もいないことを確認した。
特に悪いことをしているわけではないはずなのに誰かに見られてないか心配のなったのだ。
「それでエレナさんはどうしてそんなカッコで俺を訪ねてきたの？」
エレナさんの刺激的で魅力的な姿に視線を迷わせながら訪ねた。
「え！？婚約したら女性はこのような恰好で婚約者を訪ねると聞いたのだが違うのか？」
なに、そんな素晴らしい風習がこの世界にはあるのか！
「分かりませんが少なくとも俺は知らないです。」
エレナさんが顔だけでなく全身を真っ赤にさせて蹲ってしまった。
「死にたい・・・・。」
え、え～！！！
と、とにかくエレナさんの気分を持ち上げないと！
「俺はこの世界の習慣は分かりませんがエレナさんの魅力的な姿を見れて嬉しいですよ。」
あれ？
これってフォローになってない？
「フフ、気を使ってくれてありがとう。」
「気を使っただなんてとんでもない！エレナさんのそんな姿を見たらどんな男でもメロメロですよ。」
なんか俺どんどん変なことを口走っている気がする。
「そうですか、メロメロですか。」
「はい、メロメロです。・・・・と、とりあえず俺の仲間を紹介しましょうか？」
このままだと俺の本能を≪セルフコントロール≫さんでも抑えられなくなるので不自然だが全く違う話を振る。
「そうだな、これから私も身内になるのだから早めに挨拶しておこう。」
「とりあえず、エレナさんが魅力的過ぎて目のやり場に困るからこれでも着て。」
部屋に置いてあったローブをエレナさんに手渡した。
