229.報酬は
エレナさんの相談とは王太子の救出と王位奪還に協力してほしいとのことらしい。
「王様が殺されたのに王太子は無事なのですか?」
王を殺したのにレジル派が王太子を生かしているのだろうか。
「我々に対する人質としての価値があるから殺されていることはないだろう。恐らく王城ないの貴族用独房に幽閉されているはずだ。」
レジル派は王都などに勤務する領地を持たない貴族が大半を占めるために兵数がそれほど多くない。
帝国の援助があるとはいえブラウン派の力を抑えるためにも王太子は有効であるので殺してはいないはずとのこと。
もし王太子が死んでしまう方がレジル派にとっては不味いらしい。
何故ならエレナさんも王位継承権を持っているからとのこと。
これには驚いた。
この国では女性も王位継承権をを持てるらしい。
ただ男性の方が上位になるらしいが。
王太子よりも姫将軍として名高いエレナさんが前面に出てくることのほうがレジル派にとっては嫌なこととのこと。
「協力するのは構いませんがいくつか条件があります。」
一つは魔物の討伐は行うが人間同士の戦いには基本的には参加しない。
二つ目は王太子を無事に助け王座を奪還した暁には女神の涙を報酬として頂きたい。
「一つ目は問題ないが国宝である女神の涙を報酬として渡すのはダメです。」
そうだよなぁ。
もっととんでもない功績を上げないとダメかぁ。
「例えば今から王太子を助け出して来たら考えてもらえますか?」
「おい、調子に乗るなよ!そんな簡単に出来るわけないだろが!」
レイドさんが殺気の籠った目で睨みつけてくる。
そりゃそうだよな。
自分たちの国の王太子が捕まって困ってるのをポッとやって来た男が助けるって言ってるんだから。
「ふっふっふ。」
レイドさんとは逆にエレナさんは口を押えて笑っている。
「団長、何笑っているんですか。そんな簡単に王太子を助け出せるわけがないじゃないですか!こいつは俺らをバカにしているんですよ!」
「まぁまぁ。もし本当に出来るのなら我々にとっては利益しかないのだから良いじゃないか。それに彼は1万以上のコックローチを退け、ゴブリンとオークの大群まで退けたんだからやれる自信があるんだろう。試してみるのもいいじゃないか。ソラ殿もし王太子を助け出せたなら絶対とは言えないが私が責任を持って王太子を説得して見せよう。」
エレナさんは俺を信じてくれているのだろうか?
まぁ、真実の眼で見たステータスを見て判断したのかもしれなけれど。
「信じていただいてありがとうございます。」
「良いのよ。ただ失敗しても私たちに損がないだけだから。」
そのあと王太子の人相をエレナさんから聞いて俺の身分を証明する為に再びエレナさんから短剣を受け取った。




