221.西側
『ズッドーン』
巨大な質量の物体が自由落下とはいえ地面に落ちたらどうなるか。
解体現場で鉄骨が落ちただけでも地面の揺れを感じるんだ。
それが街の外壁一面を多い隠すほどの大きさだとどうなるかは自明の理だ。
そう地震が発生します。
やってしまったと地震が終わるまで呆然としてしまった。
「なんてことしやがるんだ!危うくみんなが壁から落ちるところだぞ!もっと考えてからやれ!」
おお、ジンだけでなくクマにまで説教を受けてしまった。
「す、スマン。爆発で吹き飛ばすより確実で被害が少ないと思ったんだよ。」
思いついたときはすげぇいい考えだと思ったんだけどな。
「まぁ、良いおかげで南側の魔物は一掃できたようだしな。さすがは英雄様ってところだな。」
落として上げるとはなかなかやるな。
「それでソラはこれからどうするんだ?」
「俺は西側の魔物に対処に向かう。」
「分かった。それじゃ俺達は東側の応援に向かう。お前らいつまでもボーっとしてんな!東側へ応援に向かうぞ!」
クマは南側の外壁に居た冒険者や兵士を連れて東側へと移動を開始した。
俺も西側の応援に向かおう。
ここから西側をみてみるとまだかなりの数の魔物がいるのが分かる。
ただメアが頑張ってくれているのか外壁の内側にはまだ進入されていないようだ。
しかし西側に近づくに連れて状況が良く分かった。
魔物の群れがメアの重力魔法でほぼ動けなくなっているのだ。
全く動けないわけではないようだが壁を登るのは不可能なようで手をかけて上ろうとするたびに地面に落ちている。
「メア、ご苦労さま。特に問題はなさそうだね。」
「ああ問題ない、南は片付いたのか我主よ。するとさっきの地震はやはり主の魔法であるか。また話を聞かせてもらうぞ。」
残念ながら今回の地震はただ重たい物が落下しただけだからメアが期待するような科学の話はないんだよな。
「あれはただ重たい物質が落下しただけだから面白い話はできないよ。」
「それは残念じゃ。主の面白い知識の話が聞けると思ったんじゃがなぁ。」
そろそろメアに話してあげる話題が無くなって来たかもしれない。
頑張って高校物理の内容を思い出すしかないか。
「問題なさそうだから支援用のゴーレムを置いて北側のジン達の様子を確認してくるよ。」
「我もここを片付けたら合流するのじゃ。」
支援用に《機関銃》をセットしたゴーレムを2体生成してメアの指示に従うように《プログラム》した。
これでメアが重力魔法で足止めしている魔物の討伐速度があがるだろう。
メアを残して北側のジンとセバス、パッシーの様子を見に行く。
パッシーのブレスは中距離だし、ジンは近接戦闘、セバスも搦め手って言う戦闘スタイルだ。
セバスもジンも魔法が使えるけどいつもと勝手が違ってやり難いから手こずっているかもしれないな。




