200.玄武討伐
直径3メートを超える巨大な弾丸は耳を劈く音を立ててはいたがあれだけ苦労したのが嘘のようにあっさりと玄武の強固な装甲を打ち抜いて体内に到達した。
この後に起こることを予測した俺は《プログラム・土魔法》で衝撃吸収障壁を作製したうえに結界を張って防御に専念した。
俺が防御姿勢をとった瞬間、俺の魔法によって通常有り得ない状態まで圧縮された弾丸は玄武の魔法無効化により一気に膨張する。
まるで音で切り裂くような衝撃音を発しながら玄武もろとも爆発した。
衝撃吸収障壁に爆発した玄武の装甲片が次々と突き刺さるがうまく衝撃を吸収してくれているようで結界にまでは影響はない。
玄武の装甲片が衝撃吸収壁に突き刺さる音が聞こえ無くなってから外を確認する。
迷宮の地面と壁が玄武が居た場所を中心に丸くえぐれて爆発の激しさを物語っていた。
恐らく今後使わないだろうが《超重量兵器》とでも名づけておこうかな。
しかし、おかしい玄武を討伐したのに転移陣以外に変化はない。
宝箱が出て来るわけでもなく何処に『豊穣の土』とやらはあるのだろうか?
とりあえず真実の眼で手当たり次第鑑定してみるか。
すると爆発して散り散りになった玄武の欠片が『豊穣の土』と表示された。
目的のものは見つかったがあの強固な玄武を素材として手に入らないのはガッカリだ。
防具が強化できれば痛い思いもしなくなると思っていたのに。
とりあえず目的の物も手に入ったので転移陣で迷宮から脱出した。
視界全体が白くぼやける。
相変わらずなれない。
転移が終わるとそこにはルシアとエルが待っていた。
「ソラ、お帰り。」
「ただいま。なかなか厄介な敵がいたけど『豊穣の土』を手に入れたよ。」
ルシアをそっと抱き寄せて心の安定を保つ。
今まで一人で戦ったことも無かった上に魔法を無効化する強敵だったのだ。
《セルフコントロール》というスキルを持っていなかったら恐慌状態になっていてもおかしくなかった。
なので精神の安定を図る為に女性の暖かさを無意識に求めた結果だった。
「急にどうしたの。積極的なのは嬉しいけど。」
心が落ち着いたら少し気恥ずかしくなってルシアを開放した。
「ゴメン、ちょっと一人で寂しかったのかな?」
後ろからドスンと言う音と共に誰かが抱きついて来た。
「ソラ、寂しいのなら私が相手してやるぞ。」
首を180度捻って確認するとリスの耳がピコピコ動いていた。
「エル、ありがたいけどルシアとエリナに相手してもらうから大丈夫だよ。」
「うう、ソラが構ってくれない。」
俺は二人の嫁さんで手が一杯なんだよ。
「エル、大丈夫よ。なんだかんだ言ってソラは構ってくれるわ。私もエリナもエルなら歓迎よ。」
いや、俺じゃなくて嫁さんが嫁を増やそうとしているんだ?
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