192.一斉駆除
アント対策を話し合った5日後、俺達は再び大地の迷宮内に来ていた。
今回は慎重を期してルシアとパッシーにも来てもらった。
どうやら今のところ俺の案は上手くいっているようだ。
そう思ったのはアントの群が襲いかかってきた空間にはひっくり返って死んでいるハイドアントが大量にいたからだ。
エナちゃんの案を聞いて魔法で眠らせれるのではと考えた。
実際にステータスを鑑定したアント種には耐性スキルが一つも無かった。
ただもし耐性を持つアントがいればすぐに眠った仲間をおこすだろう。
そこで現代のアリの巣退治をそのまま活用することにした。
つまり殺虫剤を使うのだ。
『プログラム・薬品生成』でアント用殺虫剤を生成、成分は不明だが蟻用殺虫剤を強化するイメージで生成した。
明確な構成成分が分からなくてもイメージである程度形になるようになったのはありがたいな。
つぎに『プログラム・擬似生命体』で殺虫剤をゴーレム化した。
この《ポイズンゴーレム》を300体作って大地の迷宮に放っておいたのだ。
殺虫効果が魔物に表れるか心配だったが効果があってよかった。
「ソラ、これって私達には無害なんだよね?」
「心配しなくてもすでに毒は魔力に戻しているから大丈夫だよ。」
さすがに魔物がこんなにバタバタ死んでいたら自分たちに影響がないと分かっていても怖いよな。
せめて亡骸を回収して見た目を良くするか。
≪プログラム・土魔法≫で土人形を作成。
その土人形に≪プログラム・疑似生命生成≫でゴーレム化する。
そして≪プログラム・魔道刻印≫で≪韋駄天≫を付与した。
10体以上のゴーレムが見た目と不釣り合いの俊敏な動きでアントの亡骸を集めてくる。
山のようになっているアントの亡骸を俺とセバスが手分けしてアイテムボックスに突っ込んでいく。
作業を終わったゴーレムはみんな整列して待機している。
もしかしなくても俺軍隊を作れるかもしれない・・・。
「ソラ、今度こいつらと戦わしてくれ!スッゲ面白そうだ!」
ジンはいつも自分の気持ちに正直だな。
「ああ、この迷宮を攻略した後でな。今のところ魔物の襲撃はないが十分注意して進むぞ。」
俺が注意を促すまでもなくみんな気合いを入れた顔で頷いた。
パッシーはいつも通り俺の頭の上でグデっているけどね。
地図アプリの機能で道案内ができるセバスを先頭にジン・ルシア・エル(とポックル)・俺の順に進む。
ゴーレムは道が狭いので土の状態に戻ってもらった。
偶にアントが出てくるがほとんど虫の息でセバスとルシアが止め刺しながら進んでいく。
途中大量の卵が置かれた空間を見て大量のアントがいたことにも納得した。
卵から帰ったアントに後ろから襲われたらたまらないので全部凍らせておいた。
そうしてやっと迷宮の最深部にたどり着いた。
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