165.俺遂に行動します・・・。
今度はノックもなしにいきなり扉が『バタン』と大きな音を立てて開いたのには驚いた。
なぜなら俺は絶賛ルシアに詰め寄られ正座させられてる最中だったからだ。
「ええっと、出直そうか?」
俺達の様子に驚いたのか兵士がさっきまでと違う口調で尋ねてきた。
「い、いえ、大丈夫です。」
「そうか、この短剣も本物だと分かった。ただコレがおまえに託されたものか確認するために短剣に魔力を込めてくれ。」
魔力を込めたら何か特殊な反応でもあるのかな?
「分かりました。」
俺は魔法を使うときの要領で短剣に魔力を込めると文字が浮かび上がった。
『この短剣を我が友ナガレ・ソラに預ける エレナ・ブラウン』
こんな仕掛けがあったのか。
コレって俺が魔力込めなくてもよかったんじゃない?
まぁ、どうでも良いか。
「ソラ殿。知らなかったとは言え大変失礼いたしました。」
兵士の男は今までの尊大な態度とは打って変わって丁寧な対応をしてきた。
エレナさんってもしかしなくてもかなり偉いお方なんじゃ・・。
これは大きな借りができちゃったかな。
まぁ、美人に作る借りは大歓迎ですけど・・・。
「いえ、国境警備として当然の対応だと思うのでお気になさらずに。」
「はっ、ありがとうございます。エレナ団長にもよろしくお伝えください。」
「はい。分かりました。それでは国境を通らせていただいてよろしいですか?」
「はい!ご案内します。」
その後は問題なく兵士に案内されて国境を越えた。
それにしてもこの短剣想像以上の効果があったな。
「いつまで短剣を眺めてるんだ。エレナのことでも思い出してんのか?」
「ああ、・・・いや違うぞ。この短剣だけでことがすんなり進んですごいと思っただけだぞ。ホントだぞ。」
ヤベ、なんか必死で誤魔化しているみたいだ。
「・・・・・。」
「・・・・ゴメンなさい。」
「ソラが美人に弱いのは分かったわ。なのにどうして妻の私に手をださないの?」
え?
えぇぇ!?
ダメ考えたら恥ずかしくいぃ。
なんでルシアはそんなに普通に言えるのぉ。
「そ、それは、美人は好きだけど。こう何と言うか。自身がないと言うか。ルシアはなんで動じないの?」
ルシアがコテンと首を傾げる。
「なんで動じるの?ソラが好きだから。ただそれだけよ。」
好き。
ただそれだけか。
はぁ、心に決めたはずなのになかなかヘタレは直らないな。
「うん、そうだよな。ゴメン不安にさせて。今日はみんなと別々に寝ようか。」
「うん。ありがと!」
ルンルン気分のルシアと手を繋いでプライベートワールドへと移動した。
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