164.困ったときのエレナさん
『コンコン』扉を誰かがノックする音が聞こえてきた。
捕まえた相手に律儀なことだ。
「はい。どうぞ。」
返事を返すと先ほど許可証を渡した兵士が部屋に入って来た。
「貴様が持っていた許可証は間違いなく本物であることが確認が取れた。」
どうやって確認したんだろ?
鑑定とかかな?
「それなら何が問題なのでしょうか?」
「うむ、間違いなく本物なのだが・・・。この許可証は2日前に出されたもので間違いないか?」
確かに二日前にミラさんに発行してもらったものだ。
「はい、二日前にファルスのサブマスターに発行してもらったものです。」
「嘘ではないな?サブマスターの名を出して嘘では済まされんぞ?」
なんだ?
なんだなんだ?
何が不味いんだ?
・・・・あ!
二日前に発行した許可証で今日関所にいるのは時間的におかしいんじゃないか?
かなりの速度で飛んで来たからな。
普通ならどれくらいかかるものなのだろうか?
「ここまで来るのに二日しか経っていないのは我々が特殊な方法でここまで来たからであって・・・。」
「その特殊な方法とはなんだ?」
それはちょっと言えない。
おそらく俺以外に出来る人は少ないだろう。
しかも空を自由に移動できるとなったら国家防衛上危険だ。
殺されはしなくてもどこかに軟禁くらいはされそうだ。
それは嫌だ。
この危機を突破する方法は一応あるけどできれば使いたくない。
でも使うしかないか。
エレナさんまたお世話になります。
「ここまで来た方法は明かすことはできませんが私の身分を保証できるものが他にもあります。」
兵士は腕を組んで考え込んでいる。
「分かった見せてみろ。それを見てから考える。」
エレナさんから預かった美しい短剣を差し出した。
「短剣か・・・。これは!おまえ!これを何処で手に入れた!」
今にも殴りかからん勢いで俺に兵士が詰め寄ってくる。
「エイドの街でブラウン家のエレナさんから預かりました。うぐ、苦しい。」
俺の答えを聞くとやっと兵士が手を離してくれた。
「ゲホゲホ。はぁ、苦しかった。」
「ソラ大丈夫。」
ルシアが背中を撫でてくれる。
「確認してくるから、ちょっと待ってろ!」
兵士は全速力で走りって出て行った。
「ソラ何なんだあれは?」
「さぁ?」
「ソラ。エレナって誰!」
アレ?
エリナさんの時は何も無かったのに何故だ?
それから俺は出て行った兵士が戻ってくるまでエレナさんについてルシアに説明したのだった。
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