149.男泣き?
「誰がこんな酷いことをしたのか分からないけど、恐らくは俺を殺すために何でもするような相手だ。この街で俺と縁が深い人の中でエリナさんとエナちゃんが一番危ないと思うんだ。」
エリナさんもエナちゃんも真剣に聞いてくれている。
良かった。
こんなこと言いっても怪しい人って思われなくて。
「それでソラさん。この人誰?」
へ?
エナちゃんがルシアを指して聞いてくる。
「コラ、エナ。失礼でしょ。」
「だってお母さんも気になるでしょ。今まで女の人と一緒に居なかったソラさんが連れている女性だよ。」
「確かに気になるけど、今は違うお話をしているのよ。」
なんか思ったより深刻じゃない?
「俺のせいで大変な状況なのになんかあっさりしてない?」
エリナさんとエナちゃんが顔を見合わせて不思議そうな顔をしてる。
「なんか他に言いたいことないの?」
エリナさんはハっと何かに気が付いたようだ。
「私たちのことを気遣ってくださってありがとうございます。」
「ソラさん、ありがとう。」
違う。
違う違う違う。
俺はお礼を言われるようなことはしてない。
「何で、何で。俺にお礼なんて言うんだよ。こんなことになったのは全部俺のせいなのに何で。」
フワっと誰かが抱き着いてきた。
「ソラは悪くありませんよ。みんな分かってます。だから大丈夫。」
優しく抱きしめてくれたのはルシアだった。
「でも俺がいなかったらこんなことにはならなかったはずなんだ。」
「でもソラがいなければコックローチの氾濫でみんな大変なことになっていたかもしれないわ。」
「そうかもしれないけどだからと言って俺の行動で子供たちが死んで二人を危険にさらしているのは間違いない。」
「だから二人を助けようとしているですよね。」
『ドン』
「私はソラさんに感謝してるよ。」
今度はエナちゃんが抱きしめてくれる。
「でもエナちゃん・・・。」
『ポフ』
「私もソラさんに感謝してますよ。」
エリナさんまで俺を抱きしめてくる。
そんなに優しくしないでくれよ。
「俺、俺はあぁぁぁぁぁぁ。」
俺は年甲斐もなく女の人に抱きしめられて泣き崩れてしまった。
「えっと、3人共もう大丈夫だから。」
思ったより精神的に参っていたらしい。
大の大人が大泣きしてしまった。
滅茶苦茶恥ずかしい。
特に子供のエナちゃんに抱かれながらってのが・・・。
「自分が悪いって言わない?」
「言いません。」
3人にジーっと見つめ返される。
「よし、言いでしょ。」
何かに納得したのかやっと3人が俺を開放してくれた。
「ソラがイチャイチャするのが終わったみたいだけどこれからどうするんだ?」
ジンよイチャイチャではない。
・・・客観的に見ればそうなのか?
「でソラさんこの人は誰なの?」
あ、そんなこと言っていたね。
「彼女はルシア。俺のお嫁さん。」
う~ん、自分の嫁の紹介の仕方ってどうしたら良いのか全然分からんな。
俺の紹介に合わせてルシアがペコリと頭を下げる。
「「嫁ってどういうことですか!!」」
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