145.刺された!
相変わらず《直感》さんの警告音はするが何も起きない。
俺が結界を張ったことでみんながコッチに駆け寄ってくるが右手で静止を促した。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。・・・・・・」
さっきより更にリーネさんの様子がおかしくなる。
「本当にごめんなさい。」
『ザクッ』
マジかぁ。
刺されたよ。
イッテー。
ヤベ。
全力でリーネさんに結界を張りなおす。
『ギィィィン』『キィィィン』
「ソラ。結界を解け!」
「そうです。ソラ!すぐに解いてください!」
ジンとルシアが物騒なことを言っているがリーネさんの安全の次に俺は自分の治療をしないとな。
腹に刺さったナイフを抜く。
運よく臓器は無事なようだ。
《プログラム・有機物生成》で傷口を塞ぐ。
《プログラム・水魔法》と《プログラム・有機物生成》で出血した血を補給した。
とりあえずコレで傷に関しては大丈夫だと思う。
「ジン、ルシア落ち着け!」
「「落ち着けるか(ません)!!」」
二人はそうとう頭に血が上っているな。
おそらく孤児院の子達がいないのと関係があるんだろうがリーネさんに何があったんだろうか。
「ブヒブヒ」(主死ぬなよ)
(アルジ ダイジョウブ?)
「ああ、大丈夫だ。傷は塞いだからな。」
そう傷は塞いで輸血もしたのに体がうまく動かないし、呼吸も荒い。
ナイフに何か仕掛けがあったのか。
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・致死毒のナイフ
即効性はないが致死性の毒を持ったナイフ
耐性系スキルも無効かする。
≪プログラム・薬物生成≫を獲得しました。
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チ、状態異常耐性が聞かないのか。
なんて厄介な!
≪プログラム・薬物生成≫もどんな薬を作れば良いのか分からない。
普通なら焦るところだが何ともご都合主義なことに『再生の木の実』なんて便利アイテムを手に入れているだよな。
アイテムボックスから『再生の木の実』を取り出して食べようとするが手が動かなくなって来た。
想像以上に毒のまわりが早いようだ。
即効性はないけど遅効性ってわけでもないのか。
目もチカチカしてきたし、意識もボーとしてきてる。
いよいよ不味いな・・・。
一番気を付けないといけないのは魔物じゃなく、やはり同じ人間なんだな。
俺はついに『再生の木の実』を食べることなく意識を手放した。
次に気が付いたときに何かを飲み込んだ感覚を覚えた。
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ピコーン
≪再生≫LV1を獲得しました。
≪状態異常耐性≫が≪状態異常無効≫に変化しました。
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またまた便利なスキルを手に入れたな。
これまで以上に死に難くなった。
嬉しいことだ。
今や俺一人の命じゃないからな。
目を開けると目の前には嬉しそうに泣くルシアの顔がある。
どうやら倒れた俺に『再生の木の実』を食べさせてくれたらしい。
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