141.パンパーティー
コテージに入ってすぐは玄関になっていた。
すでにジンもパッシーも玄関には姿がない。
「ジン、パッシーはどこにいるんだ?」
俺は声を張って二人に呼びかけた。
「ソラ!こっちだ早く来いよ!」
「ブヒブヒ!」
今始めて知ったけどパッシーって姿が見えないとホントに『ブヒブヒ』としか聞こえないんだな。
え、《魔力感知》を使えば一瞬で分かるだろって?
その通りだけど何かソレって味気ないだろ?
声が聞こえてきた扉を開けるとそこはダイニングキッチンと言えば良いのかな?
継ぎ目のない10人以上座れそうな大きな木製のテーブルと木製の肘掛付き椅子が10脚置いてある。
ジンは一つの椅子に座りパッシーは机の角にいた。
「お待たせ。お昼はパッシーの《お使い》スキルで買えるようになったいろんな種類のパンにしよう。」
「ソラ、俺は前から楽しみにしていたぞ。」
《お使い》スキルのレベルが上がったときは我慢してもらったからな。
「ブヒブヒ」(何を買ってくれば良いんだ?)
今回は買ってもらう物が多いからメモを渡そう。
「買ってくる物のメモを書いたから確認して買ってくれ。」
俺がアイテムボックスから金貨を出すと金貨が消えて木製テーブルの上にパンと飲み物が表れた。
「みんなはどんなパンか分からないと思うから説明するからほしいのが有ったら言ってくれ。」
「コレはカレーパンと言って細かくした肉と野菜を香辛料を利かしたスープを粘り気が出るまで水分を飛ばしたものをパンの生地で包んだものを油で揚げたパンだ。」
「主よ。油で『揚げる』とは焼くのとなにが違うのじゃ。」
あら、この世界には油で揚げる文化はないのかな?
「『揚げる』とは熱したたっぷりの油で煮るって言ったら良いのかな?」
メアがお行儀良く手を上げた。
幼い姿と相まってとても可愛らしい。
「主よ。それは我が食べてみたいのじゃ。」
「はい、それじゃこれはメアの分な。」
メアにカレーパンを渡して次のパンの説明に移る。
「これは照り焼きハンバーガーと言って甘辛いソースとマヨネーズと言う俺の世界では大人気の卵を使ったソースをかけたハンバーグをパンで挟んだ物だ。」
ジンがビシっと手を上げる。
「ソラ!それは俺のだ!」
「はいはい、コレはジンの分な。」
ジンに照り焼きハンバーガーを手渡して次はホットドックの説明に移る。
「これにはソーゼージと言って香辛料を混ぜた細かい肉を腸に詰めて焼いたソーゼージというものとキャベツと言う葉物野菜にケチャップと言う甘みと酸味があるソースがかけて挟んだパンだ。」
「それは私が食べたいわ。」
「それじゃコレをどうぞルシア。」
ルシアにはホットドックを渡す。
「説明してないパンはどれも甘いお菓子みたいなパンだ。これは説明が難しいから食べてみてのお楽しみにしてくれ。」
俺はコーンパンを食べることにした。
ポックルはフルーツと野菜のミックスジュースを選んでいた。
パッシーは甘いクリームパンにしたようだ
全部説明するのは面倒なので勘弁してもらおう。
「みんなに飲み物も行き渡ったみたいだし、食べようか。」
久々のコーンパンは妙に美味しく感じる。
「ソラこの肉滅茶苦茶旨いぞ。とくにソースが気に入った。」
「ブヒブヒ」(このパンも中身が甘くて旨いぞ)
「このカレーパンとやらの中身は病みつきになりそうな味じゃな。」
「私はこのケチャップが気に入りましたわ。」
みんな気に入ってくれて良かった。
高い金で買った甲斐があるものだ。
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