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124.怒れる侯爵


俺は今怒りのあまり青筋を立てたアントレ侯爵と対面している。


可視化されてるんじゃないかと思うほどのとんでもない殺気がアントレ侯爵から放たれている。


もし≪冷静≫さんがいなかったら俺はチビッてたかもしれない。


使い魔達は別室でアンさんとリーゼちゃんに相手をしてもらっている。


「ソラ殿。この度は我が娘リーゼを助けて下さり本当に感謝していた。」


口では感謝の言葉を述べてるけど全く感謝してませんよね?


前回と違って全く頭を下げてくれませんし、その上俺を射殺さんばかりに睨み付けて、終いにはなぜか過去形になってますし・・・・。


「いえ、ファルスの街の復興に尽力されているアントレ侯爵の憂いを取り除くのに役立てたなら幸いです。」


『コツコツコツ』アントレ侯爵が指先で机を叩いている。


なんでリーゼちゃんを助けた俺が尋問されるみたいな感じになってるのかなぁ?


「そうかそうか、ワシの憂いを取り除いてくれて感謝するよ。ただ新たな憂いも取り除きたいのじゃが良いかの?」


新たな憂いとはなんだろうか・・・。


雰囲気からして絶対に俺が関係している気がする・・。


・・・・分かってます。


親バカなアントレ侯爵がここまで激怒するとなったらリーゼちゃんに関係しているに決まっています。


どれに怒っているんだ・・・。


リーゼちゃんに抱き着かれたことか?


ペンダントをかけたことか?


手を繋いだことか?


・・・・現実を見ます。


そう、全部ですね。


困ったな俺にはここから無事に宿に帰るビジョンが浮かばない。


高い執事能力を持つさすがのセスさんも嵐が過ぎ去るのを待つように微動だにしない。


ここには俺を助けてくれる存在がいないぞ。


「返事が無いのは肯定ととらえさせてもらうぞ。」


えぇぇ、そんな勝手な。


「憂いを取り除く前に一応確認だけはしておくんじゃが、ファルスの英雄であるソラ殿が我が娘リーゼを助けた折にリーゼがそなたに抱き着いたというのは事実か?」


なんか取調べを受けているように感じるのは気のせい?


「はい、知っている人を見た安堵感からの行動かと。」


アントレ侯爵がギロリを俺を睨んで『ドゥォン』と机を叩く。


コワッ!


心臓がビクッてなるわ!


それに『ドゥォン』って何!


普通『ドン』じゃない!?


何とか《冷静》さんと《ポーカーフェイス》さんの平静を装ってるけど。


「ソラ殿。『はい』か『いいえ』で答えてくだされ。」


あ、完璧に裁判ですわコレ。


「その後、リーゼの首にペンダントをかけたのは(まこと)か?」


え、コレを『はい』か『いいえ』で答えるの?


いやいや、なぜそんなことをしたのかが重要なんですよこれは。


答えたくない・・。


「ソラ殿。どうしたなぜ答えない?リーゼの首にペンダントをかけたのか?」


「・・・・・はい。」


『ピキィ』


おふ、さっき侯爵が叩いた机に亀裂が走ったよ。


アントレ侯爵の殺気のせいなのか、机を叩いたせいなのか分からないけど。


ああ、《冷静》さんが居なかったら俺気絶してたかもな。


「最後に屋敷に帰るまで手を繋いでいたことも(まこと)か?」


アントレ侯爵の顔は真っ赤にしただけでは怒りを表現できないのか全身がプルプル震え始めたよ。


見るからに我慢の限界って感じですね。


今日が俺の命日か・・・。


ジン、パッシー、ポックルみんな達者でな。


「ソラ殿。ワシは(まこと)かと尋ねておるのだが?」


お、おおお!


なんとかもう少し時間稼げば俺の命も救われるはず。


「弁解をさせていただきたく存じます。」


『ドガ』アントレ侯爵が床を足で打ち抜いちゃったよ。


「ワシは『はい』か『いいえ』で答えろと言ったはずだが?」


ヒィィ、もうちょっとだ、もうちょっと。


来た!


救いの主が現れる。


『バーン』部屋の扉が音を立てて開いた。


「お父様。報酬の話にいつまでかかっていますの!」


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