121.リーゼちゃん救出
「おい、今のは何の音だ!」
あ、ようやく一階の奥にいた男が出てきた。
これだけ反応が遅いってことは寝ていたのかもな。
「ここにいる女の子を迎えに来たんだよ。邪魔するなら容赦はしなからそのつもりで。」
「はぁ、何言ってやがるお前!ここに女のガキなんていないぞ!さっさと出ていけ!」
まぁ、正直に女の子攫いましたなんて言わないだろうけどね。
「二階に女の子がいるのはもう分かってるんですよ。」
男は焦りを顔に滲ませ始めた。
そんなにすぐに顔に出してちゃダメでしょ。
「チィッ、何でばれた!?おい女を連れてづらかるぞ!」
甘い、逃がすかよ!
俺は≪プログラム・雷魔法≫を付与した≪必中の矢≫を男達の足目掛けて放つ。
男たちは全く反応することができずに地に伏せた。
制圧は一瞬だったな。
慢心したらいけないけど俺ってそれなりに強いんだな。
「ソラ、俺は全く必要なかったぞ。」
アンさんが男達を捕縛しているのを見ながらジンがブー垂れている。
「不貞腐れてないで2階にみんなの無事を確認しにいくぞ。」
ポックルから何の連絡も無いから無事なはずだけどね。
実際に確認するまでは安心できないからね。
リーゼちゃんがいると思われる部屋にジンと一緒に入る。
そこにはオブジェのように木の中にハマって身動き出来ない男が二人いた。
「ソラ様!」
いきなりパッシーを頭に乗せたリーゼちゃんが俺に抱き着いて来た。
おじさんビックリだよ。
小さい女の子とはいえ女子に抱き着かれたのなんて初めてですから。
取りあえず何時までもりーぜちゃんの頭にいるパッシーを摘み上げて俺の頭に乗せる。
ポックルはいつの間にか俺の傍に来てポケットによじ登っていた。
「リーゼ様ご無事で何よりです。」
「・・・・・。」
あれ?
おかしい何の反応もないぞ。
どうしたら良いか分からん。
困った。
そこへタイミング良くアンさんが一階の男を捕縛し終わったのか部屋に入って来た。
「アンさん、リーゼ様はご無事でしたよ。」
アンさんは俺に抱き着いたままのリーゼちゃんを見てニコニコしているだけだ。
この状態を何とかしたいのにアンさんが何もしてくれない。
「リーゼ様、すでに賊は捕らえております。ご安心してアンさんと屋敷にお帰りください。」
「・・・・・。」
やっぱりりーぜちゃんから反応がない。
抱き着いているから俺が嫌いで無視しているわけじゃないと思うけどどうしよう。
「アンさんさすがにこのままは不味いので何とかしていただけませんか?」
「はいはい、お嬢様。勢いで抱き着いて恥ずかしいのは分かりますがそのままだとソラ様も困りますし抱き着く前にするべきことがあるんじゃないですか?きちんとしないとソラ様に嫌われますよ。」
いや今のところ特にリーゼちゃんを嫌う理由はないけど・・・。
リーゼちゃんはゆっくりと俺から離れてアンさんの傍へ移動して行く。
「この度は迅速に私を助けてくださりありがとうございます。そして今まで無礼な態度をお許しください。」
リーゼちゃんは恥ずかしのか顔を真っ赤にさせたまま頭を下げてお礼を言ってくれた。
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