100.ジンが切られて・・・ない
到着しました15階層。
ここを突破したら今日の探索は終了だな。
相変わらず5階層、10階層と同じボロボロの扉がある。
魔物のランクだけじゃなく扉のランクも上げたほうがいいんじゃないだろうか?
まぁ、戦闘が始まる前に敵の様子が確認できるから俺にとってはありがたいことだけど、こう何というかせっかくの迷宮なのにガッカリ感が否めない。
これはゲームじゃなく現実だから何より大事なものは命なのは理解しているつもりだけどそれでもね。
15階層はまたまたゴブリン軍団だ、ゴブリンソードマンの上位種ゴブリンソードマスター、シールドゴブリンの上位種ゴブリンナイト、ゴブリンアーチャーの上位種ゴブリンレンジャー、ゴブリンマジシャンの上位種ゴブリンソーサラーだ。
魔物の数自体は減っているが一匹一匹の強さが下位種とは桁違いだ。
身に着けている装備だけでもそこいらのギルド員以上の装備だ。
そのうえゴブリンナイトなんて全身鎧を身につけてる。
まぁ、ゴブリンと比べられるギルド員は可哀想だけどね。
オレとポックルでゴブリンレンジャーとゴブリンマジシャンを、ジンとパッシーでゴブリンソードマスターとゴブリンナイトの相手をする。
我らが特攻隊長であるジンが紫電を纏って一気にゴブリンソードマスターへと距離を詰める。
しかしこのゴブリンソードマスターはジンの踏み込みに反応してジンを脳天から真っ二つにするべく剣をジンの登頂に目掛けて振り降ろしたのだ。
「ジン避けろ!」
ジンがまさに踏み込んだタイミングに合わせて振り下ろされた為にジンが回避できない。
オレの叫びも虚しく真っ二つに・・・・・、なってない!?
アレ?確かにジンが切られたように見えたのに今ジンはゴブリンソードマンの斬撃を半身になって交わしている。
ゴブリンソードマスターは渾身の一撃を躱され、剣が床に突き刺ささり態勢は完全に死に体になっている。
驚愕の顔をして隙だらけのゴブリンソードマスターにジンは雷鬼の斧で首をチョンパした。
あとでジンにどうやって躱したのか聞いてみよ。
俺が参考に出来るわけじゃないけどね。
今回の敵で一番初めに攻撃に転じたのはゴブジンレンジャーだったが今までと同じで《防御炎》で放たれた矢を焼き払ってやった。
(アルジアブナイ)
オレの左側で急に火の手が上がった。
どうやらゴブリンソーサラーが口と鼻を塞がれながらも決死の思いで魔法を放ったようだ。
それを俺の《自動結界》が防いでくれた結果だ。
《自動結界》は《プログラム・空間魔法》で指定した範囲に《プログラム・条件》で一定スピード以上の何かが通れば《プログラム・強化》を付与した結界を《プログラム・結界》で発生させる防御魔法だ。
保険として作っておいたが早速お世話になってしまった。
保険なのでこれが発動した時点でオレはミスをしていることになんだよな。
最近ジンの成長が著しいからどうしても戦闘を観戦していまうんだよ。
オレもよそ見せずに戦闘に集中しよう。
その後は特に波乱もなくゴブリンレンジャーを《必中の矢・電気針》で倒し、ゴブリンソーサラーを窒息死させ、ゴブリンソーサラーとゴブリンナイトはジンがパッシーと協力して葬っていった。
ようやく100話目です。しかし今だに誰ともくっつかない主人公・・・どうしよ。




