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狐の夢  作者: カルバル
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1.起きたら

ふと気がつくとかなり大きい狐が目に入った。立ち上がっても見上げるような大きさだ。黄金色の毛並みが輝いて、真っ黒の澄んだ目はじっとこちらを見据えている。狐がゆっくりと口を開けた。その後俺の視界は真っ暗になった。



「ふああああああ」

あっつい…。昨日からこんなに暑かったっけなあ。いつの間に脱いだのかベッドの上に服が散らばってる。パンツまで脱ぐとかよく目覚まさなかったな。ああ、喉が渇いた。ストンと前足から床へ降りる。前足は黄金色の毛並みに覆われ、先の方は茶色っぽくなっている。

いやまてちょっとまて。なんだこの腕は!?犬!?嘘だろなんだこれ。俺の腕…前足なのか?何が起きたんだいったいこれは。


体の方を見ると、やっぱり犬のような、黄金色の毛に包まれていた。後ろ足も前足と同じく先は黒っぽくなっている。部屋の隅に置いてあった姿見を覗き込むと、犬…というより、狐がいた。


狐…か。そういえばそんな感じの夢を見ていた気がする。

にしても何がどうなっているんだ…?人間の体が急に狐の体になるなんて、バラエティーの心霊特集にだって見たことがない。…まさか狐になっちゃったから誰にも伝えられず記録に残らなかったとか…?

って、そうだ。人間に戻れるのか?なんか今日は大事なことがあった気がする…。

ふと机の上を見ると、昨日の夜ほっぽり出してそのままだった、物理の教科書とノートがあった。


…テストォォォォォ!!!!

やばいやばいやばい!!今日テストじゃん!!行かないと当たり前だけど単位はない!!

万が一人間に戻れたとしてもこの単位を落としたら元も子もない!!戻れ!!人間に!!!戻れ!!!!



ポンッ



…うわあああ戻った!!!あれ?なんで!?

でもよかった。これでテストを受けられる。人間、身に迫った非現実的な事件よりも、日常の問題の方が焦るもんだな。

とりあえず服着てご飯食べて大学にいくか。





昨晩遅くまで勉強した甲斐もあってか、なんとか無事にテストを終えた。友人達は打ち上げついでに昼ごはんを食べに行くとのことだったが、なんだか体がだるくてぼーっとしていたため、誘いを断って家で休むことにした。

家に着く頃にはさらにだるさが増し、寒気までしてきていた。風邪だろうか。こんなにも急激に体調を崩すことがあるものなんだな。


ベッドに寝転がり、目を閉じる。すっと力が抜けていく感じがした。



目が覚めた時には外は真っ暗だった。かなり長い時間眠っていたみたいだ。

そして朝と同様、体が狐になっていた。2回目ともなればだいぶ冷静なる。

それにしても朝は寝ぼけてたのかな、とちょっと思っていたのに、本当のことなんだとつきつけられた感じだ。

どうして狐になったんだろう。呪いみたいなものか?でも別に狐に関わったような記憶、というかそもそも狐を実際に見たことすらない。

うーん、考えても答えが出る気がしない。この状況になった理由はこの際置いておこう。とりあえず人間生活を送れるかどうかが大事だ。朝に一時的に人間に戻れたのも気になる。あの時は人間に戻れ!!って思ったはずだけれど、そんなことでポンポン身体が変化するんだろうか。まあ、物は試しだ。

人間に戻れ!!!



ポンッ



「おぉ…」

目に見えるのはまごうことなき人間の手、鏡を見ても間違いなく人間だ。全裸なのは仕方がない。

狐だから変化できる、ということかなぁ。本物の狐は変化なんかしないだろうけど。そういえば変化は人間以外にもなれるんだろうか。やってみよう。

鳥になれ!!



ポンッ



バサッッ

これはすごい。人間の手から、茶色い翼に変わった。なんの鳥だろうと思って鏡を見て、絶句した。

頭はカラス、翼は茶色で小さなスズメのもの、それに反して足はがっしりとした、白っぽいおそらく鶏らしきもので、尾羽も鶏のような立派なものだ。

抽象的に鳥、と思ってしまったのがいけなかったか。よし。

スズメになれ!!



ポンッ



鏡の中のキメラがよく見るスズメの姿になった。こうなったらやることは決まっている。翼を広げ、グッと足に力を込めてジャンプする。それと同時に思いきり翼を動かす。翼はかなりの速さで動いているが、何事もなかったかのように床に着地した。

鳥の見た目ならば空を飛ぶことも出来るだろうと思ったが、そういうわけにもいかないんだろうか。

一旦人間に戻り、全現代人の大先生に相談することにした。

「雀 飛び方」で検索すると、色々出てきた。スズメは羽ばたくことで上昇して、滑空して前に進んで…を繰り返すだとか、ずっと羽ばたき続けて空を飛ぶだとか…。

どっちなんだと言いたいところだが、やっぱりなんどもやってみるしかないようだ。

人間へと戻り、テーブルの横にクッションを置いて、スズメへとまた変化する。テーブルのふちを思い切り蹴り出して翼を動かした。

うぉおおお!飛んでる!!すごい!!いや若干落ちてる!!

って待て壁だ曲がれない!ぶつかる!!!戻れ!!!

ポンッといって、壁ギリギリのところで狐に戻り、着地した。

…戻れでなるのは人間じゃなくて狐なんだな。根本的に狐になっちゃってるってことかな。

とにかく人類の夢、飛行ができるかもしれないとわかった。時間があるときに積極的に練習することにしよう。

小説とか書いたことなかったので色々気になるところはあると思いますが私の妄想におつきあいいただけたら幸いです

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