ー1ー 大人になった私と
小説家で小説を書くのは初なのでよくわかっておりません。
少しずつ慣れていけたらなと思っています。
大学の講義が終わり、友達と駅の近くまで向かう。
友達も私もいい歳で、彼氏の話へと必然的に変わってしまう。
「…あのさ、彼氏がさ…」
友達にも最近彼氏ができたらしくいちいちと惚気話やら愚痴やらに付き合わされ、私はそれにはいはいとかてきとうに返事をする。
私にももちろん彼氏だっていた。
でも、みんなそんなに長続きしなかったのだ。
それも、全部“あの人”が忘れられなかったから、なのかもしれない。
「初華も彼氏作りなよ!」
そんなことを平然と言ってくる友達に向かって。
「今は作るきになれないかな」
と返すがきいていないらしく、その彼氏さんのことに夢中になっているらしい。
誰かに夢中になれるってほんとにいいことだなと友達をみて少し苦笑いする。
「初華が1番好きだった彼氏さんってどんな人だったの?」
そうきいてくる友達の言葉に“あの人”のことが頭に思い浮かんだ。
「優しくて、面白い人だったよ。あと関西弁だったの覚えてる」
どんどんあの人を思い出していって切なくなり、自分の持っているバッグの持ち手を少し強く握る。
『いっちー』
ふと、1度だけ通話したときに私のニックネームを愛おしそうによんでくれた彼の声を思い出した。
「…へー。初華がそんなに愛おしそうな顔してるの初めてみた。まだ、その人のことが好きなの?」
その言葉に対して、まだ好きかはわかんないけど忘れられないではいる。
と返事をした。
“あの人”は私のこと、好きだったのかな。
どちらかと言うと私が無理矢理って感じだったから。と思い出してまた苦笑いをした。
「あ、ねえねえその人の名前とかって覚えてる?教えて!」
なにを考えてるのかそう言ってきた友達に対して“あの人”の名前を口にしようとする。
こうやって口にするのは久しぶりだなとか考えて彼の名前を発した。
「飛鳥」
「いっちー」
______その時、すれ違った人と私の声が重なった。
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