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CHILD

杉山と木葉がコンビニに着いたのは アンテナ豚を五体倒したあとのことだった

コンビニには食料はもうなかった コンビニの倉庫にも在庫などもなく

飲料水のペットボトルが幾つか転がっているだけだ

木葉がそれを拾ってキャップを開いた

「飲むのは止めた方がいい」

言われて木葉も異変にきづく ペットボトルのキャップに違和感があったのだ それはきにするレベルの問題ではないが

誰かが一度開けて閉めたのだとすると 中身は新品ではないし 毒や何かが混入されているのだろう

杉山は監視カメラを睨み 木葉の手から飲料水を奪うと床にブチまけた

そして倉庫の奥にある事務室に視線を送る

「誰かがいる?」

木葉は杉山がアンテナ豚と同じように人間にも容赦なく攻撃を加えるのではないかと心配した

「出て来いよ」

事務所のドアの向こうにいるだろう誰かに杉山がいう

ドアノブがわずかに動き鍵がかかる

「行こうよ」

木葉は杉山に声をかけ杉山が事務室に背を向けた瞬間だった 黒い影が事務室から飛び出し杉山にぶつかった

突き飛ばす動きではなく接近し突き立てるための動きだ

「杉山くん?」

動かない杉山 黒いレインコートを纏った小柄な誰かがカッターの刃を杉山の背中に突き刺した

溢れる血が溢された水と混ざり合う

「女か?」

杉山が振り向かずに問いかける

フードを被った誰かは答えない 小柄な体格から女でもおかしくはない

だが答えないのなら仕方がないと杉山は容赦ない反撃にでた

カッターを突き刺して思考停止してしまう誰かは先制攻撃を見舞って震えていた

次は自分がやられる番なのだとわかっているからだ

振り向くと同時に拳を見舞われ 続けざまに胸部を蹴られて壁に叩きつけられる

実力差はもちろん体格差も圧倒的であった

「子供?」

木葉が覗き込むようにして杉山の後ろから声をかけた

「子供じゃねーよ!!」

泣の入った声は確かに子供の声だ

「女の子じゃないか」

バツが悪そうに杉山はいうと 体に入って折れたカッターの刃を自分で器用に取り出した

数cmほどの深さで致命傷には程遠い

しかし 感染症を警戒しなければいけない

「木葉 事務室に何かないか見てきて」

カッターは床に落ちている 武装解除した女の子は押し黙って震えていた

生殺与奪の権利は完全に杉山にあるのだと 幼いながらに把握しているのだろう

「何もしないさ ただ買い物にきただけだ」

杉山がいうと女の子は腫れ始めた顔を抑えて泣き出した

コンビニから救急箱を持ち出して 三人となった 杉山たちは鉄橋へと戻った

途中なぜ襲いかかってきたのか?ペットボトルに薬を入れたのか?

柔らかい尋問を行い 女の子を味方に引き入れた

どうやらコンビニに食料があるのだからそこで助けを待とうとしていたらしい

けれども数日前からここに閉じ込められた連中と鉢合わせ 体を触られたり守ってやるといいつきまとわれたのだという

それで怖くなり もうみんな殺すしかないと決めて黒いレインコートを着て夜は狩を行い

昼は事務室に閉じこもり ペットボトルに睡眠薬や精神科から処方された薬を大量に入れて罠をしかけたのだという

まだ中学一年生だという女の子は環境に適応してハンターとなっていたのだ

もし使用された凶器が包丁やナイフであったならば 杉山も危なかっただろう

「痛くないの?」

杉山に言われるがままに ぬいぐるみすら縫ったことのない木葉が傷口を縫う

「そりゃ痛いよ」

上着を脱いだ杉山の体には幾つかの傷痕がありそれが何かは聞けそうにはないと 木葉は見なかったことにして処置を終えた

「眠ってるね」

レインコートを纏ったまま女の子は眠っている

警戒心を有した捨て猫のように丸くなって眠っている

加減があったとはいえ殴られ蹴られたのだ 熱も出るだろう

しばらく動かさずに様子を見てやる必要があった 骨折から死亡することもあるのだから油断はできない

「わたしたちどうなるのかな?」

木葉はとりあえず持ち帰ったアンテナを見つめながらいう

衣服も汚れが目立ち 下着はコンビニので代用してはいたがそろそろシャワーの一つでも浴びたいところだろう

「僕が子供の時 親父がいたんだ・・・」

おもむろに語り出した杉山の言葉は重かった

木葉は一体何を語り出すのか驚いたが とても笑える話ではないことは理解できた

目線を伏せて語り出す杉山をじっと見つめるだけだ





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