ANSER
フェーズ3が終了し やがて今回のレギオンが終わろうとしていた
最高ランクに到達した杉山の眼前に文字が表示される
ゲーム達成の賛辞がゲームマスターより贈られたのだ 空間がうごめいて配置されたオブジェクトが消えてゆく
やがて杉山の周囲を光が包んだ ゲームマスターの元へ召喚されているのだ
「杉山さん!?」
慌てて声をあげるミサキ 杉山は一度経験したことがあり 慌てることはない
光強く輝き始めると それが突然消失してしまう
「なんだ?」
杉山は言いながら異変の原因を見つけた
半壊したゴーレムを連れて木葉が近づいている
「ジャンプを遮断しました ゲーマーズそしてウィザードのクランメンバー 並びにその協力者に警告します
フェニックスの速やかな排除を開始してください」
木葉が強い目で杉山を睨む
「なぜだ?」
堀川が間に割って入った 杉山は高比良がケルベロスが布石としてフェニックスを誕生させたことに意図を感じた
そして木葉の行動でそれがどれほどのものであるのかを察した
「フェニックスの力が邪魔なんだな?」
杉山が木葉に言うも答えはない
半壊した石のゴーレムは木葉側に所有権が移り 命令を待っている ミサキは木葉に狙いを定めている
「フェニックスを守るぞ きっとこいつはゲームマスターに抗えるだけの力を持っている」
杉山が明確に木葉との対立を口にした
「それはゲームマスターに対する反逆です わたしの権限においてあなた方を排除します」
木葉は言い終えると黒い霧を周囲に撒き散らした
杉山は体から何かが抜け落ちてゆくのを感じた それは堀川も同じだった 重さを感じることなく振るえた大剣が手から離れた
ゴーレムが7番へと迫る 杉山が動くも体が重く間に合わない
銃声がなると同時にゴーレムの両膝が砕けた ミサキの攻撃が間に合ったのだ
続けて銃口を木葉に向けるミサキだったが 見知った存在と同じ姿形の木葉を撃つことに迷いが生まれた その隙をついて木葉はミサキを攻撃する
瞬時に木葉が剣を発現させて斬りかかった
杉山のシルバーホワイトがそれを受け止める
「わたしの剣はシルバーホワイトとは違い 攻撃力に上限がありません
現在あなたの防御スキルは失効しています 触れれば生身のあなたは消滅します」
木葉は杉山と唾競り合いのさなかも余裕である
シルバーホワイトが弾かれ 杉山に切っ先が迫る
金属音が鳴り 木葉の剣が止まった 杉山がとっさに高比良を倒して得たイージスの盾を発現させたのだ
左腕で盾を構えたが 木葉の宣言通りの威力を完全には吸収できずに杉山の体が宙を舞った
ミサキが銃弾を放つがそれは木葉の体には届かない
遠距離攻撃無効化スキルだ ミサキに注意を奪われた隙に堀川が背後に回り込んだ そこから強引に大剣で攻撃する
筋力強化の恩恵を失った堀川ではあるが まだ大剣を振る力は残されていた 木葉は振り向くと剣で受けることもなく大剣を粉砕し 堀川を大地に叩きつけた
まるで巨大な槌に殴られたかのように 堀川の全身に強い衝撃が突き抜けた
「シルバーホワイトでフェニックスを眠らせればいいのです
そうすればゲームマスター 王との接見を許可します
わたしと争う理由もなくなる」
木葉は杉山の答えを待った 動かない堀川 攻撃を封じられたミサキ スキルを失った杉山
頼みのシルバーホワイトでも木葉には届かない
もう何度も木葉の攻撃を受けることもできないイージスの盾 杉山は盾を捨ててシルバーホワイトを両手で握った
「おれはまだ諦めない」
木葉はどこまでも逆らう杉山に口を閉ざした
より厳しくなる表情は杉山に死を覚悟させたが ここでフェニックスが動いた
鳴き声をあげて杉山の隣へと舞い降りる 杉山に殺意を向ける木葉に敵対する
「形勢逆転!!」
ミサキが嬉々として言うとトリガーを引いた それはあっけないほど容易に木葉を貫いた
フェニックスが木葉の力を消し去っていたのだ
ミサキが攻撃せずともフェニックスが静かに内側から木葉の命を削っていた 胸を撃ち抜かれた木葉 大量の出血と大きな風穴を開けられ 自身が長くないことを知る
すると先ほどまでの険しい表情を捨てて 見覚えのある懐かしい顔を見せた
「杉山さん?」
ミサキが引き寄せられる杉山を呼ぶも返事はない 当たり前のように杉山が木葉へと歩み寄る そして木葉を抱きしめた
木葉の手には剣が強く握られている それが杉山の命を狙っているのは明確だった しかしミサキは動けない 杉山が自身の決着をどのようにして終わらせるのかは杉山自身の問題だ
ミサキはただ見守るしかないのだ ここでもし木葉を撃ち杉山を守ったとしても 彼の心までは救うことはできないのだから
杉山は抱きしめると同時に木葉の体を貫いていた 木葉の体が凍結し 甲高い音と共に砕け散った
杉山の涙はもう枯れている 泣き崩れることはなかった
7番の意識が戻ると 遅れて堀川も目を覚ました しかし受けたダメージは深く身動きが取れないことに変わりはなかった
ミサキが手に入れた薬を飲ませ 命を落とすには至らない
「ウィザードは全滅ですか?」
7番が杉山にクランの状況を尋ねた それを正直に杉山は答える
「全員死んでしまったよ 元ウィザードのファーストも含めて全員だ」
きっと7番もそれをわかっていたのか噛みしめるように杉山の言葉を受け止めた フェニックスが7番の哀しみを察したのか顔を覗き込む
「大きくなってもおまえは変わらないね
わたしは大丈夫だからね 心配しないで」
子供をあやすようにドラゴンより高次元の力を持つフェニックスに語りかける7番
「杉山さんはああいうタイプも好みなんだ?」
大人の女性である7番を指差してミサキが言った
杉山は否定せずに黙ってフェニックスと7番を見つめていた そこには本当の愛情の形があった




