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GIFT

ユウタが列車を止めるとミサキを抱えて歩き出した

リーダーの決死の攻撃とユウタの判断により自律兵器の脅威は遥か遠くへと去った

ユウタが後列を切り離したことで列車はさらに加速 目的の医療ユニットまでは歩ける距離である

列車も損傷が激しく ユウタの太い足が頼りだ

重く邪魔になる機関銃を引っ込めて

ユウタはミサキを両手で大切に抱えている ユウタは目を覚まさないミサキが危険なことを理解して先を急ぐ

闇が白み 地上に伸びる階段を見つける 乾いた風がミサキの髪を撫でる

足音だけが響く地下から這い出ると 日が昇っていた 辺りを倒壊したビルが覆っている

ミサキを離さずに右往左往するユウタ 微かに音がするのにきづく

発せられる音は継続的に鳴っているビーコンである 音はしだいに大きくなりユウタの目にコンテナが映った

ミサキを下ろしてコンテナに触れる コンテナは自動展開し厚い外装が畳まれると 注射器やカプセルがあった 注射器にはあらかじめ薬品がセットされているようだった

ユウタは震える手で注射器を手に取った そして細いミサキの腕に注射を打った

そして寝かせたままのミサキを残してユウタが動き始める 足音にきづいたのだ 医療ユニットを狙って駆けつけた他のプレイヤーと鉢合わせてしまった

「お前なんだ?」

ユウタと同じくらいの年の男たちが言った

相手は八人もいる 全員がライフルや槍などの武器を手にしている

武器を出していないユウタを嘲笑う

「デブが女連れてるなんてありえねーだろ?」

無警戒のユウタを弄ぶように銃弾が放たれ 土煙が上がる うずくまって動けないユウタ

それをいいことに八人はユウタを囲んで暴行を加え始めた

「キモい声で鳴くんだなこの生き物!!」

「どうする頭いっとく?」

「せっかくだから遊ぼうぜ もうすぐ終わりだろ?」

周囲から聞こえるこえはどれもユウタに優しくない 怒りはなくひたすらにユウタは許しを願った

しかし彼らには慈悲はない ユウタの背中と耳に銃弾が撃ち込まれてしまう

泣き声をあげるユウタの口からは血が溢れる 肺を貫かれてしまったのだ これまでにユウタが経験してきたイジメとは違い明確な殺意があった

まるでアザラシがペンギンをいたぶるような殺意ではあったが ユウタの命は消えようとしている

「女犯そう」

薄れる意識でユウタの耳に届いた言葉 ユウタもミサキを拘束しそれをかつて行った

上等な人間ではないとユウタはわかっていたが それでもミサキが汚されることに抗うことを決めた

奇声を吐き出して男たちを威圧すると機関銃を発現させた いきなり発現した機関銃に男たちは凍りついた

先ほどまでオモチャにしていた存在が上位の射撃スキルを持っていたのだから

ユウタがトリガーを引くと反射的に反撃に動く男たち だがユウタの体は銃弾を受けても攻撃をやめることをしない

槍が首を貫き 銃弾が目を潰し耳を飛ばしてもユウタは立っている いつまでも銃弾は機関銃から放たれた

もうユウタは痛みを感じることを忘れていた

ミサキが目を覚ますと見知らぬ男たちの死体があった その中心でズタボロになったユウタを見つける

ミサキの目から大粒の涙が溢れる

呼びかけてもユウタからは返事がない

ミサキはコンテナから薬品を取り 遠くから聞こえる銃声の方へと歩き始めた

きっとまだ杉山は戦っているのだとミサキは思った そう信じることでしかミサキは正気を保つことができなかったのだ

遥か上空を飛来するワイバーン ミサキを無視して城塞に籠る人間を獲物と定めている

それらは集結し群れが個となり空を覆った ミサキはワイバーンの影の踏みしめて一歩ずつ杉山のもとへと向かう 引きずるようにしてもスナイパーライフルはまだミサキの手にある



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