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WYVERN

「しかし驚いたな・・・

半分はいるんじゃないのか?こんだけの頭数でもレギオンが終わらねーんだから先が思いやられるわ」

堀川が杉山の隣で言った

杉山は大勢のクランをまとめるケルベロスのメンバーを見つけている

決戦場として構築された城塞の外壁の外に杉山は腰をおろしていた

ケルベロスのメンバーは全員が見覚えのあるスーツを装着し SFさながらの大型の電子砲を両手に携えていた

「ケルベロスの連中が着てるあれはなんだ?」

随分と大人しくしていた杉山が唐突に口を開いた

「あれは強化スーツらしい 攻撃力はもちろんかなりの防御率の向上が見込まれるって聞いたことがある」

攻撃ヘリのロケットを受けても無傷であった高比良を思い出す杉山 ケルベロスのメンバーは見えているだけで五人だ ワイバーンとの戦いに乗じて仕掛けるには数が多い

シルバーホワイトの攻撃力でならやれる 杉山には確信があったが数が多い 遠距離攻撃で抜けない強化スーツが邪魔なのだ

「まさかケルベロスの連中を狙ってる?」

堀川が杉山を確かめるように見つめる 杉山の目は鋭い

「本気かよ?さすがに洒落になんねーぞ・・・

まあ殺れるもんなら殺っておいて損はねーけどさ・・・」

リスクとリターンを天秤にかける堀川 杉山は立ち上がるとアサルトライフルを構えたワイバーンの群れ 第一陣が到来したのだ

「何人殺れる?」

ワイバーンの群れを前にして杉山は言った 堀川は大剣を肩に担いで答えた

「二人ならいけるわ」

その言葉を聞いて杉山は満足した

城塞の高台からケルベロスのメンバーが号令を出した あらかじめ取り決めた段取りが始まりの時を迎えたのだ

朝日を背にして飛来するワイバーンに向けて 最初に動いたのは少数の遠距離攻撃スキルを持ったクランの上位メンバーであった

発砲音からすさまじい衝撃を辺りに轟かせ 閃光がワイバーンの群れへと伸びた 加速し直進した弾頭を目視できない高速弾頭であった

幾らかのワイバーンを貫き中空でそれが爆発した

焼け焦げたワイバーンが地上に墜ちた

続いて長距離砲を持ったプレイヤーたちが 城塞の壁からかざした槍襖のような砲身から一斉射撃を開始する

轟音と轟音とが混ざり合い砲身から吹き出す火が途絶えない

「まだ様子見ってとこだ」

次々と墜とされるワイバーンが炎に包まれ 憎しみを噛み砕くように牙を剥き出しに死ぬ

弾幕を抜けられた時に備えて杉山と堀川のすぐ後列にはライフルを持ったプレイヤーが並んでいる

遠距離攻撃でも止まらない場合 ディフェンダーとして最前列の杉山と堀川を含む近接プレイヤーが体を張ることになる

そして ケルベロスのメンバーは陣営が抜かれた時の保険である

城塞の壁周囲には少数ながらも防御スキルを持ったプレイヤーがいる 連中が展開するという障壁が役に立つかどうかはわからない

朝日が完全に登り終えた頃 第二陣が襲来 手筈通りの対応をとるも今度は数が違う

「いつもと違うぞ!!」

声をあげたのは最前列に並んだ近接プレイヤーである

その声は銃声に掻き消され ケルベロスからの指示に変更はない 墜とされることを想定した圧倒的数が迫る

やがてライフルの射程距離にまで到達したワイバーンが銃撃を掻い潜り低空を走った

その巨体をもって人間を道連れにしようというのだ

杉山が動くと近接プレイヤー全員が動いた

後列の銃撃と砲撃は次々に接近する新手に向けられる 援護は期待できない

シルバーホワイトが音もなくワイバーンの巨体を撫でる 斬られたのは足だ

ワイバーンの足が瞬時に凍結し転倒する 硬いワイバーンの鱗とアスファルトの摩擦で火花が散る

翼をバタつかせて起き上がろうとするも そこに堀川の大剣が振り下ろされ翼を引き裂いた

後列が次々とワイバーンに刃を突き立てると鮮やかな血が吹き出す

そこへ 上空からワイバーンが襲いかかる 同胞に群がった汚らわしい人間へ浄化の炎が浴びせられる

咄嗟に散ることを選択できた少数を残し 大半は炎にのまれ影さえも残らない

強引な着地で大地を揺さぶるワイバーン 銃弾が鱗を抉り続けるもさらなる業火を放った

それは城塞に向けられて執拗にまとわりつく近接プレイヤーを無視したものである

杉山がロケット砲で頭部を撃ち攻撃を遮ることに成功する

しかしワイバーンの殺意は完全に杉山へと向けられた 杉山を援護しようと鱗を貫く近接プレイヤー

無残にも翼爪によって引き裂かれ 長い尾が大地を叩く 杉山はアサルトライフルで牽制を加えつつ接近を試みる

大きく羽ばたくワイバーン その風圧が杉山の接近を許さない 動きの止まった杉山にワイバーンが尾をしならせて攻撃を繰り出した

「ゴーレム!!」

杉山の召喚に応えてアスファルトを突き破り 石のゴーレムが現れた ワイバーンの巨大な尾を全身で受け止め主 杉山を守った

意表を突かれたワイバーンが炎を吐こうと口を開いたが ゴーレムが尾を引き態勢を崩した

杉山の鋭い刃がワイバーンの首を突く 炎を宿す体を冷気が包み込むと粉々に砕けた

雪のように辺りに飛散する肉片 杉山の強さは他の近接プレイヤーを圧倒していた



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