HAKENKREUZ
深い闇を進軍する一団がある 漆黒のマントから覗かせるのは重機関銃である
瓦礫を押し潰して進む戦車隊がその後に続く
野砲を牽引する車両 乱れない隊列
彼らの襟には鉤十字 ハーケンクロイツがある
レギオンに参加する全プレイヤーを粉砕するために彼らは進軍する
そこへ無防備に近づく人影がある 手にはアサルトライフルが握られている
それは奇しくも彼らが開発した武器の進化系であった
指揮官が笛を吹くと全体が止まり武器を構えて臨戦態勢に移った
一斉射撃が開始され闇を照明弾が照らした
一人を倒すには十分すぎる銃弾とパンツァーファウストが投じられた 轟く銃声と爆発
指揮官が双眼鏡に手をかけた瞬間 噴煙の中からロケット弾が放たれた
それは一団の中央にて爆発し野砲の砲弾を誘爆させた
指揮官が叫ぶのを待たずにさらに激しい銃撃が開始される
しかし銃弾は通用しない 遠距離攻撃無効のスキルを持った杉山だからだ
ファーストを倒したことで杉山には通常兵器による遠距離攻撃は通用しない
それがミサイルであっても戦艦の艦砲射撃であってもだ
迫り来るたった一人の人間に彼らは戦車を出した 戦車砲が放たれた爆煙を巻き上げる
杉山はロケット砲の再装填を待たずに突き進む 距離がつまり戦車兵が機銃で迎え撃つも無駄だ
杉山は長剣シルバーホワイトを発現させて 鋼鉄の装甲を貫いた
一瞬である ほんの一瞬刀身が戦車に触れただけでそれは凍結し 登場する戦車兵さえも粉々に砕け散った
眼前で粉砕された戦車 指揮官は慌てて無線を使った 航空支援を要請している
囲むように戦車が杉山に砲撃しても効果はないロケット弾とアサルトライフルの銃弾が確実に彼らの数を減らす
銃剣突撃が始まると杉山は距離が詰まる前に銃撃で数を減らし 撃ち漏らしを斬りすてる
数と火力をもってしても杉山を止めることはできない
空から轟音が届くと友軍もろとも爆撃が開始された 巨大な爆弾が連なって投じられ 一面を焼いた 杉山は慌てる必要はない
被弾をまぬがれた野砲を見つけ 大きく旋回を始めた爆撃機に狙いを定める
野砲を使った経験など杉山にはない けれども放たれた重い一撃は爆撃機の翼を撃ち抜いた
揚力を失い墜落し爆散してしまった
繰り返された戦闘により杉山の射撃スキルは向上し あらゆる射撃武器を扱うことができるのだ
燃える残骸と彼らの骸が杉山を照らしている
そこへプレイヤーが現れる
「そのスキルと剣 スペシャルってわけか?」
およそ戦場に似合わない華奢な男が杉山に語りかけた
しかし巨大な大剣を引きずるようにして片手で持っている
「お兄さんとどっちが強いか試したくなったよ」
杉山の返答など無用で男は動いた
視界から一瞬で消えて強烈な一撃を振り下ろした
杉山は長剣で受け止めるも反撃することはできない 大剣の質量以上に男の力が強いのだ
男は着地すると杉山を蹴り飛ばした
杉山はこの攻撃をあえて受けて弾き飛ばされた
距離を作ったことで杉山の銃弾が男を襲う
反応が速く男は大剣で身を守った
「それはねーだろ!?」
大剣の影から杉山がロケット砲を構えるのを見て男が言う
「急いでるんださっさと死んでくれよ」
杉山は冷たく言い放つとロケット砲のトリガーを引いた




