WIZARD
捕虜を抱えた杉山は女の仲間であるクラン ウィザードと合流した
驚いたことに全員が女性であり 互いを番号で呼び合うという異質な連中であった
森の中にキャンプを張り 大量の物質を備えて他のプレイヤーから遠ざかることを目的としているようだった
「11番が世話になったな
しかしさすがだよ システムをまだ理解してもいないのに戦えてしまうんだからね」
杉山と焚き火を挟んで座るクランのリーダー2番が言う
杉山は協力してレギオンに備えることには賛成するつもりでいる
しかし右も左もわからない情報不足の現状を打開することが最優先である
「教えて欲しい こっちは何もわからないまま戦いに巻き込まれている
仲間も他の連中に殺されているんだ
レギオンから生還する それだけじゃダメなのか?
なぜプレイヤーが任意で現実で襲ってくるんだ?」
2番はどこから話すべきか考えたあとに 自身が経験したことを語り始める
まず杉山同様に突然の向こう側へと誘われ そこで知り合った人物とゲームを攻略しチュートリアルを終えたのだという
それで得たスキルが支援型の使役スキルだと言うのだ
やがて先にプレイヤーとなった連中からの現実での襲撃を受けるようになり それを撃退することでスキルは成長したのだそうだ
何度かの向こう側への強制隔離を繰り返すと 同じようなスキルを持った者同士が集まり
最初に知り合った人物が1番と名乗りそれがクランの誕生となったのだ
小規模の実戦で仲間を失うこともあったが 2番は1番の強力なスキルにより守られ生存することができたのだった
他のクランとの衝突は必然であり それは自身の能力の獲得とレギオンでの前哨戦でもあると言う
「レギオンはゲームマスターとの戦いじゃないのか?」
杉山が問うと2番はそれに陰りのある声で答える
「ゲームマスターはあらゆる兵器と怪物を配置している
もちろんそれらは全プレイヤーの共通の敵であるが
本当の戦いはそれではない 最高ランクへの到達が目的なのだ
最高ランクへと駆け上がる近道がプレイヤーキルであり 生存率を高める手段としてクランがある」
「最高ランクに誰かが到達しない限り レギオンが繰り返されるということか?」
杉山は高比良がイタズラに攻撃を仕掛けてきたのではないのだと
ここで理解することができた さらに2番はシステムについても詳しく杉山に語る
どうやら一部のプレイヤーは自身の判断で小規模な戦闘に参加する術を持っていること
そしてウィザードも含む幾つかのクランは 拡張されたスキルによってプレイヤーの情報をある程度閲覧できると言うのだ
「リーダーはおれじゃないんだが あんたらウィザードは信用できる
共闘させてもらうよ」
杉山は正式にウィザードとの同盟を承諾した
夜も深くなり杉山は彼女たちのキャンプで一夜を過ごした
静かな森の朝 杉山を起こしたのは小鳥のさえずりでも小川のせせらぎでもなかった
先日 杉山をここに案内した女7番であった
「杉山さん 先日の捕虜が所属するクランを吐きました
これから処刑を行います 彼の所有スキルは杉山さんに移行しますが プレイヤーの強化はされません それでもよろしいですか?」
普通に人を殺すのが当たり前なのだと ここはもう戦場なのだと杉山は若い7番の冷たい事務的な言葉に思い知らされる
それを否定する権利は杉山にはないのだ どうせこれから殺すのだからと杉山は割り切った




