WAR
リーダーのクルマは廃車となり島田は入院し
杉山はファーストフード店でミサキにドヤされている
「危なく人殺しにされるとこだったのに?
なんでこんなショボいお昼なのかわからないんですけど?」
杉山は仕方なくミサキにお詫びとしてお昼を提供するも 洒落た店を知らないのでミサキはご立腹だった
杉山がミサキに呼び出されたのはそれだけが理由ではなく 向こうで生存競争を行った全員に見えている数字についてだった
プレイヤーのランクを示している数字はこちらでは見えていない
しかし先日より新しい数字が見えるようになったのだった
それはカウントダウンを続けており およそ一週間で0となるようであった
「杉山さんこれってわたしたちの寿命なのかな?」
ポテトを口に頬張るミサキに緊張感はない
「一応みんなには連絡してるけど このカウントダウンはきっとレギオンかその前哨戦じゃないかと思う
そしてそこで何らかの成績を残せないと きっとレギオンから生還できない」
杉山は先日の高比良の呼び出した騎士との戦いで もっと強い武器が必要であると痛感していた
リーダーと島田の捨て身の攻撃がなければ殺されていたのだから
「杉山さんはたぶん大丈夫な気がする」
テーブルの食べ物全てを平らげたミサキが急に真面目な顔を見せた
「どうして?」
珍しく真面目なミサキに杉山は驚いた
「何となくだけどそんな気がするんだよね
ちょっと気になることもあるからわたし行くね」
そう言うとミサキは手を振って席を立った
杉山は嫌な予感がした
ミサキは杉山と別れたあと 繁華街から離れた場所にあるゲームショップを訪れた
そこにはワゴンに無造作に詰め込まれたゲームソフトが大量にあり ユウタがそこから掘り出し物を発掘しようと躍起になっていた
「おっすー」
ミサキが声をかけるとユウタは嬉しそうに返事をした
ミサキが気になっている一つの謎を解明すべくユウタはすでに動かされていたのだった
しかし目的から逸脱し中古ゲームを漁っていたのだった
「あのゲーム機見つかった?」
ミサキが言うゲーム機とは涼原の部屋にあったゲーム機だ
ミサキはゲーマーではないがそれが珍しい形の物であることはわかった ユウタもそれが気になって雑誌やパソコン仲間に問い合わせたが詳細はわからなかったのだという
以前に涼原本人からユウタは近くの店で購入したのだと聞かされていたので 手当たり次第にゲームショップを巡っていたのだ
ミサキはユウタの背負っているリュックに大きな膨らみがあるのにきづいた
「ミッションコンプリートか?」
期待に胸踊らせるミサキにユウタは歪な笑みで応えて見せた
ミサキとユウタはさっそくそれを調査すべく寂れたカラオケ店へと入った
そして何の断りもなくゲーム機をテレビへと接続してしまう
もちろん動いているのはユウタでミサキはマイクで命令をしている
「このゲーム機電源がないよ」
手を止めたユウタが言う 仕方なくミサキが配線なんかを見ると確かに電源ケーブルがない
またそれらしき差し込み口も見当たらない
また電源のスイッチやディスクやカセットの挿入口もない
しかし不思議なことにテレビには見慣れない文字が高速で走り何かが起動していることがわかる
「あ・・・これヤバい感じかも」
ミサキが言いながら意識を失う 同時にユウタも意識を失いつつあった
ユウタに揺さぶられて目を覚ますとそこは現実ではなかった
崩壊した都市にミサキとユウタはいる
倒壊したビルと裂けたアスファルトから 火がめらめらと燃え盛っていた
「何だろうここ?」
辺りを見回しても崩壊した街があるだけで 空もどんよりとした灰色の雲に覆われて昼か夜かもわからない
「あれ何か来る」
ユウタが言いながら指差す その先にあったのは大きなクルマのような物である しだいにそれがクルマではないことがわかる
「戦車?」
ミサキが言うとユウタが首を振って叫んだ
「装甲列車!!」
ミサキはユウタの背中に素早く飛び乗り逃走を始める だが足場が悪くさらに土地勘もない場所だ
ひとまず迫り来る装甲列車から見えない瓦礫に身を隠す
所々傷んでいるレールの上を進行する装甲列車は 悲鳴のような駆動音を奏でながら二人の前を通り過ぎた
大きくそして長い車両には大砲が装備されていて 戦車を牽引しているようだった
音が遠ざかるのを確認して二人は顔を出した
「これって戦争だよね」
ミサキが言うと遠ざかった装備列車は闇へと消えた
ユウタが今度は空を見上げている ミサキもそれにならって見るとパラシュート降下する兵隊たちが見えた
「空挺部隊だ」
まるで演習を見て喜ぶ子供のようにユウタは楽しそうだったが それも長続きはしなかった
空から降下してパラシュートを切り離した彼らが二人に銃口を向けたのだ
周囲を囲まれた二人に逃げ場はない また武器も何も持たないのだからどうしようもなかった
一斉射撃の合図がされた瞬間 ユウタがミサキに覆いかぶさり銃弾を体で受け止める
ユウタの体に銃弾が刺さる度に痙攣しているのがミサキにはわかった
やがてユウタが動かなくなると彼らは何処かへと散った
ミサキはユウタを押し退けて立ち上がる
左腕に鈍い感覚があり見ると 肉が抉られていることがわかった
痛みに負けることはせずミサキは歩き始めた 少しでも情報を集めようと止まらない
遠くで銃声が鳴っている それも複数の銃声であった
ミサキは瓦礫の上を力なく進むと数人が撃ち合っているのが見える 先ほどの兵隊たちと女を連れた男が撃ち合っている
兵隊の数は多い しかし彼らの銃弾は男に届いていない
男が銃撃をものともせずに撃ち返すと 確実に一人ずつ兵士を倒して行く やがて銃声が止むと男を女が後ろから抱きしめた
ミサキは先ほどの兵士たちとは違い 目の前の二人には会話が成立するのではないかと接触を図る
まるで道を尋ねるようにフラットに近寄るミサキ
男がきづいて咄嗟に銃口をミサキに向ける
「わたし敵じゃありません 撃たないでくれます?」
ミサキの言葉に男は銃を下ろす しかし女がミサキに警告する
「クラン外のプレイヤーとの接触は禁止されています
離れて下さい さもないと排除します」
厳しい顔で拳銃を向ける女
「ちょっと待ってわたし意味がわからないんですけど
ゲーム機つけたらいきなりこんなんでサッパリわけがわからないんですけど・・・」
言い終わる前に女の拳銃がミサキの胸に銃弾を放った 二発がミサキを貫くと痛みと共にゆっくりと意識を取り戻す
口から溢れたよだれをミサキは拭いながら起き上がると 退屈そうにケータイを触るユウタが見えた
「おかえり遅かったね」
ユウタはなんでもなかったかのようにミサキに言う
ミサキは撃たれた胸の感触がまだ少し残っていたが それどころではなかった 思わずケータイを開いて杉山に連絡をつけようとするミサキ
「どうしたの?」
ユウタが不思議そうにミサキに言う
「木葉さんがいた わたしあの人に撃たれたんだけど・・・」




