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NAVIGATOR

開発を途中で中断し廃棄された埠頭

誰も訪れない場所である そこに杉山は高比良を連れてきた

リーダーと島田もそれに従い三人で囲んでいる

海風が彼らを包むも一片の爽快感はない

高比良の口から信じ難い真実が語られ始めたからだった

「ゲームマスターはただ楽しんでいるのさ

おれたちプレイヤーに数字でランク付けして試練を与え遊んでいるんだろう」

高比良は知り得る情報を選んでいるのだろうが饒舌に語る

「楽しんでいる?遊びのつもりなのか?」

島田が言う

「遊びだろ?向こうで死んでも生き返ってこうしてあんたらは平気な顔で生活してるんだからな

ただ まだ本番じゃないんだよ

いうならばあんたらがこないだ体験した生存競争はチュートリアルってとこで本番じゃない」

そこまで高比良が言うと杉山が口を開いた

「レギオンそれが本番ってわけか?」

察しのいい杉山に笑みを見せて高比良が先を語る

「そもそも目的なんてものがあるとは思えないが

定期的にレギオンというデカイ祭りのようなイベントが開始されてきた

そこでは死亡すると即 現実での消失に繋がる

生き残った連中は装備やスキルを手に入れることができるが 次のレギオンの時にはもう見ない

殺られてるんだろうな

現代兵器より優れた装備でも生存することすら難しい 圧倒的な群れなんだよ」

どうやら高比良は何度かのレギオンから生還していたようで かなりの情報を有しているようであった

しかし彼は有効的な性格ではなく 退屈だという理由で涼原を殺った

その揺るがない事実から三人は油断せずに囲んでいる

「レギオンから生還して得たもので涼原を殺ったのか?

さっき対戦したようにゲームを現実にしたってことか?」

杉山の質問に高比良は簡単に答える まるで人を殺めたことに咎を感じてはいない

「どうせおまえたち落ちこぼれはいなくなる

繰り返されるレギオンで生き残れるのはランクがカンストしていても難しいんだ

戦車や爆撃機だって出て来るんだぞ?

ドラゴンの一匹くらい何だってんだ」

語りながらも高比良はさりげなく手を動かしているのが杉山には見えた

「何をしている?」

言うと同時に杉山が高比良の腕をひねり上げた

握られているのはケータイのような端末であり小さなモニターに文字が走っているのが見えた

「レギオンをクリアした者はいない

もしクリアできればゲームマスターが何者かわかるかもしれない

でも おまえたちはここで終わりだよ」

そう言い終えると高比良の姿が消え 杉山が掴んでいた腕の感触も失われた

代わりに三人の前に何かが構築されて行くのが見えた

それは騎士であった 鎧をまとった重装騎兵だ

馬にも鱗のような金属の鎧がある

大型の盾と槍を携えて三人を一瞥すると 槍の切っ先が杉山に向けられた

「逃げるぞ!!」

リーダーが叫ぶも杉山はそうはしなかった 馬から逃げおおせることができないことを杉山は知っている

また遮蔽物のない地形が逃走を困難にさせている 背中を向ければ途端に槍で貫かれるのがオチだ

「こいつはおれがどうにかする二人は逃げてくれ」

杉山は覚悟を決めて突進する騎兵に備える

ギリギリまで引き寄せて槍とは逆の方向へと動いた

槍の鋭い一撃からは逃れることができたが 強い衝撃に転倒させられてしまう

杉山の動きを読んで騎士は盾で殴りつけたのだ

額から鮮血が滴り落ちる 致命傷ではないが次の突撃を回避する余裕はもはや杉山にはない

攻撃しなければならない 強い思いが杉山に武器を与えた

向こうと同様に杉山の手にアサルトライフルが発現した 馬を反転させ再度突撃を図ろうとする騎士めがけて銃撃を開始する

けたたましい銃声とそれを受け止める盾

金属の盾とはいえ銃弾はいくらか貫通している

しかし勢いを殺された銃弾は鎧を抜いて騎士に致命傷を与えるまでには至らない

馬を狙ってトリガーを引くも騎士は馬を走らせ杉山の周りを旋回し始める

盾は大きく騎士の体と馬の頭部を隠すには十分なサイズであった

弾薬の再装填を開始するアサルトライフル 銃撃が止んだのを確認するように一呼吸おいて 騎士が突撃態勢を整え槍の切っ先を向けた

膝をついて立ち上がる杉山 やはり動きが鈍い

盾の一撃で動きはもう死んでいる

突撃が開始され再装填も間に合わない

そこにリーダーがクルマで割って入った 猛スピードのクルマが騎士の側面からぶち当たり 馬を弾き飛ばし騎士を落馬させた

だが重装備の騎兵はクルマに匹敵するほどの頑強さがあった

馬は即死でありもう動かないが騎士は立ち上がりフロントガラスへ槍を投げた

意識から外れた杉山が騎士の懐へと入り 腰に差してある剣を鞘から抜いて奪う

盾による攻撃を警戒し距離をとる 杉山の鼻先を掠める盾

クルマからリーダーが降り騎士を前後に挟む

挟撃をしようにも相手は重装である背後から装甲の隙間を狙う必要がある

「リーダー!!」

杉山が合図して剣を地面を滑らせてリーダーにパスした

これにより前からは銃弾が 後ろからは剣戟が襲いかかる形となった

馬という機動力を削がれてはいるものの鎧をまとった人の攻撃力は危険である

殴られるだけでも重さゆえに致命傷となりかねない

だが騎士は杉山のアサルトライフルに背中を向けるわけにはいかなかった

杉山が牽制射撃を行い リーダーが背後から膝を突き刺す それを何度か繰り返すと

鎧の中に着込んだ厚手の服を貫いた すると声も出さずに騎士は膝をついた

杉山が距離を詰め盾を払いのけ首へ銃口を当てた

銃声と共に鮮血が舞い騎士は動くことを止めた






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