ROOM
ユウタと合流しリーダーのクルマは的確に涼原の家に向った
狭い車内がより狭くなったことで 後部座席のミサキがユウタの巨体を肘で遠ざける
リーダーが丁寧にユウタに事情を説明し 緊急事態であることを伝える
一方 杉山は高比良の数字を思い出していた
まさに桁外れの数字と装備だった
向こうでの戦いとなれば勝ち目はない 現実でケリをつけるべきだと杉山は黙って気持ちの準備をしている
それを横目に見るリーダーだが この緊急事態でことを穏便にすませられるとはさすがに思ってはいない
「ここだよ」
ユウタがいうとリーダーはクルマを少し離した場所に停めると
面識の深いミサキとユウタがまずは様子を伺うこととなった
平凡な家であったがそこに住まう人々は平凡ではなかった
「いない」
そういってドア越しに追い返された二人
どうやらユウタは声の主が涼原の父親であるという
父親は電話も取らないし 母親も涼原をいないものとして生活しているらしい
ユウタは何度か涼原の家でゲームをしていたらしい その時からこの涼原家での異質なルールを理解していた
「本人が出てこないと家に入れないってこと?」
ミサキがいうとユウタはそれに押し黙ってしまう
ミサキの性格上こういう場合に何を命令してくるのか ユウタなりに学習していたのだろう
「突撃するぞ」
門前払いで頭に地が登ったミサキは ユウタに鋭い目付きで強く言った
ユウタはドアめがけて体当たりを行う 当然ものすごい音と振動が住人に伝わり慌てて声があがる
「何やってるんだ!!」
声の主は先ほどの父親であるが 今度はいくらかの人間らしい声色であると言える
だがミサキは強行突破を止めるつもりはなかった
尋常ではない衝撃に堪らず父親が玄関を開けるとユウタが父親を突き飛ばす形となった
「お邪魔します!!」
ミサキがいうと同時に土足のまま家に上がりこむ
「一番奥の部屋」
ユウタが部屋を伝えると廊下で母親を避けてミサキは勢いよく雪崩こんだ
「涼原生きてるか!!」
狭くて暗い日の差さない部屋にミサキの声が響いた 返事はない
涼原らしき肉塊がそこにはあるだけだった
「何これ?」
おそらく服であったろう布切れが肉塊に混ざっている きっとこれが涼原なのだとミサキは思った
肉塊となった涼原からにじみ出る血液が畳に染みている
それを照らしていたのは小さなテレビであり 映し出されていたのはゲームの映像だった
ゲームオーバーの文字がそこにはある
ミサキを追いかけて部屋に入った母親 続いて父親とユウタも言葉を失った
現実であるがそれはまったく現実味をもたず 思考が間に合わないのだ
そこにミサキへの着信 電話の相手はリーダーである
「大丈夫かい?涼原君は無事か?」
リーダーの問いかけに状況を説明しながら動き出すミサキ
が それを父親が遮った ミサキの腕を掴んでまるで犯人であるかのように拘束する
「大丈夫か!?」
悲痛な叫びは通話越しにリーダーにも伝わるも ミサキは島田を優先するように言うと通話を終えた
ユウタが父親に涼原を殺したのは自分たちではないと説明を始めるも伝わらない
母親が錯乱寸前であり父親も怒りをあらわにし ミサキを離そうとはしない
「あ〜面倒くさいな!!」
ミサキはそう言うと警察にケータイをダイアルした




