LOST
ファーストフード店も清掃の時間となり
杉山とミサキは繁華街の公園に移動した
殺風景な公園で遊具などはなく
酔っ払いが食べた物を戻しているだけだ
「もう帰れますか?」
ミサキがベンチで塞ぎ込む杉山の顔を覗きながら言った
大丈夫だと杉山が応えるも どこか目がおかしい
どうやら意識がこっちにないような様子
まだダメだとミサキは諦めて杉山の隣に腰をおろした
「親が心配してるんじゃないのか?」
相変わらず某然とした杉山が呟く
「杉山さん それさっきも言いましたよ」
どうやら記憶すら曖昧になっているようである
「木葉 どうして見つからないんだろうな
ずっと探してるのにいないんだ 電話をかけても繋がらない」
そういうと杉山がみんなに半ば無理矢理持たされたケータイを出して見せた
「ちょっと見せて」
ミサキがそれを奪って発信履歴から木葉 楓にダイヤルする
聞こえてきたのは着信拒否の音声ガイダンス
「杉山さん 木葉さんは着信拒否してるみたいだよ」
着信拒否という聞き慣れない言葉に杉山が反応する
「ちょっと待ってわたしのケータイ使ってみる」
ミサキが素早くダイヤルすると音声ガイダンスは流れずに呼び出し音が鳴った
「あ・・・これ繋がるかも」
覇気のなかった杉山が我を取り戻す
ミサキは杉山を制して探るように通話を開始した
その辺りは現役の学生であって慣れたもので熟練の技術と言える
怪しまれることもなくたんたんと通話は行われる
杉山は唯一接触できたミサキに希望を見出した
ケータイを奪ってでも木葉の声を聞きたい
それが今は邪魔になるとミサキは把握して杉山に相変わらず待てを繰り返す
五分ほどの通話を終えるとミサキがケータイを畳んだ
「どうだった?」
ミサキの表情は明るくはない 答えを急ぐ杉山の声は大きい
「たぶん木葉さんはもういないんだと思う」
「こっちに戻れていないのか?」
冷静さを失いつつある杉山 それを察してミサキは杉山の手を握った
まるで小さい子供に別れを告げるようにして ミサキは現実を伝える
「木葉さんで間違いない でもわたしも杉山さんのことも憶えていないみたい
いや 本気で知らないって感じだったな・・・
それでね 最初にさりげなく聞いてみたんだよね 木葉 楓さんですかってさ」
杉山は現実を突きつけられ呆然となる
「間違いなく木葉さん本人だよ
声とか話し方っていうか 雰囲気がそんな感じなんだよね
でね 実際に会って確かめたいっておもうじゃん?
それは無理っぽいんだよね だからねあんまり深く探ることはできなかったんだよね」
杉山はしばらく押し黙っていたが やがてゆっくりと立ち上がると歩き出した
「どこに行くの?」
ミサキが声をかける
酒を飲みたくなったんだと伝えて繁華街へと進む
もちろん杉山を一人にはできずにミサキがそれに続く




