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GIRL

一連の騒動から一年が過ぎた

死んだはずの杉山は肉体を再構築され 現実での暮しに戻っていた

狭いアパートには週末ともなると 殺し合いをやっていたかつての敵味方が訪れる

その準備として杉山は 寂れた商店街の中央にある大型のスーパーにいた

カゴに来客に備えて肉や野菜といった無難な食材を放り込む

夢ではない 杉山だけでなく再構築された大勢の者たちにも記憶はあり また焼きついた強い使命感があった

いずれ大量の敵が群れとなって押し寄せてくるのだと 共通のイメージが確かにあった

レギオン

誰ともなくそれを口にして 杉山はかつて父親が言っていたことを思い出した

それで父親も自分と同じような経験をしたのではないかと杉山は理解した

殺されるほど過酷であった少年時代 それも頷けるというものだ

「杉山さん」

レジに向かう杉山に声がかかる 相手はあの女の子だった

ずいぶんと派手な格好で充実した毎日を送っているようであった

「久しぶり・・・えっと」

名前を思い出そうにも聞いていないのだから思い出しようがない

「ミサキ」

女の子が名前を伝えると ちょっと思い出せなかっただけだとごまかしてみせる杉山

「もうすぐレギオンがくるんでしょ?」

あまり考えたくはない真実 その日が来るまで日常を大切にしたいと杉山は願っていた

もちろんそうは周りがさせてはくれないのだった

荷物を置きにアパートへ向かう杉山 それについてきてしまうミサキ

あっちで会った頃とはずいぶんと雰囲気が違い 言葉の使い方も丁寧であった

「思ったよりは綺麗にしてるんだね」

さも当然のように部屋に上がり込むミサキ 窓を開けるとミサキのずいぶんと長くなった髪が揺れた

暖かな風が部屋に流れ込む

いろんな連中が残したり忘れたりして 壁際には物が溢れていた

その中には木葉との思いではない 写真の一枚もないことが逆に杉山には救いとなっていた

「まだ見つからない?」

ミサキがいうのはもちろん木葉のことだ

向こうで死んで行った人たちは全員生きている

世間もそれがあったことを知らず また信じようともしなかった

導かれるように各々が再開を果たすと 恨みや敵対心はなく ただレギオンに備えるために結束した

その中で木葉だけがみつからないのだった

「そうだ カラオケ行こう」

返事のない杉山の手を取ってミサキが行動を始める

半年前にも突然のカラオケで辛い思いをしたことが思い出される

「カラオケって気分じゃないな」

やんわりと断るもミサキはやはり引き下がらない

「わたしを殺した罪を償ってもらうんだから

もっと嬉しそうにして欲しいな」

杉山は半ば強引に今回もカラオケへと向かうことになった





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