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人を殺めるなんてことはいかなる状況においても経験したくないもので 正当化されることなどあってはならない
生き残るためだという大義名分であっても杉山の動きは鈍り 結果として無抵抗な相手を殺すという罪を木葉が被った
「見ないで!!」
杉山が木葉に向き直ると様子がおかしい
両手で顔を覆い顔を背ける 声をかけても返事はない
「ごめんなさい」
か細い声が杉山に届く
木葉の足下が濡れている 恐怖からか罪悪感からなのか木葉は失禁していた
内太ももを伝ったそれはスカートからはみ出し やがてソックスを湿らせると溢れ出した
「情けないね まだ始めたばかりなのにね・・・」
杉山が優しく木葉を抱き寄せる
「もう大丈夫 次は迷わない」
杉山の言葉に木葉は頷く 少しだけ もう少しだけこのままでいたい
木葉の想いを踏みにじるように杉山の背後に人影が見えた
声をかけても間に合わない 木葉は杉山を突き飛ばした
銃声と共に木葉が弾ける
瞬時に銃撃を受けたのだと 杉山は把握して敵に反撃を行った
崩れた態勢からの攻撃だったが 腹部と胸を撃ち抜いた 敵が動かないのを確認し 木葉にかけよる
「恥ずかしいとこ見られて死ぬなんて なんだか変な気分だよ」
木葉は笑っていた 杉山はただ木葉の手を握ることしかできなかった
敵の放った銃弾が木葉の横腹を抉り取っている 素人の杉山から見ても助からないのはわかっている
「杉山君 わたしあなたのこと愛してます」
最後の言葉を受け取ると杉山は立ち上がり 叫んだ
溢れる涙にかまわず走り出して視界に入った人を撃つ
繰り返し繰り返しトリガーを引いて杉山は確実にプレヤーキルを重ねる
ドラゴンの業火が止み 辺りを朝日が照らす
動いている者はもうほとんどいない
弱りきった杉山が向かったのはゲームセンター
そこには誰もいない こわれたゲーム台があるだけで何もない
割れたガラスに反射して杉山の頭上が映っている
銀色の冠が新しく表示されていた
一定数のプレヤーキルを行った生存者に ゲームマスターが与えたのだ
杉山の目に直接表示される文字があった
残り5人
あと少しで終わるのだと杉山は気を引き締めて再び動き出す
偶然そこに女の子とユウタ涼原の三人が現れ とっさに杉山が構えると女の子も手に持ったショットガンを杉山に向けた
「わたしも殺すつもり?」
女の子は口許を緩ませて言った しかし目は笑っていない
両者の距離は近く手を伸ばせば届く距離にいる
「木葉ちゃんは?」
ユウタと涼原に目で合図を出しつつ 女の子は言った
「死んだよ」
杉山が銃口を向けたまま答える
様子がおかしいと互いに察している 杉山に表示される銀色の冠 同じものが女の子の頭上にもあった
女の子が銃口をゆっくりと下ろす 杉山もそれと同時に銃口を下げる
そこへユウタと涼原が飛びかかった
杉山にしてみれば想定内の行動だ トリガーを引きながら銃口を上げる
ショットガンの細かな弾がいくらか杉山の足を貫く
「杉山 あんたじゃダメ このくらいノーダメージじゃないと話にならないんだから」
ショットガンが女の子の手から離れた
アサルトライフルの銃弾が三人を貫いたのだ
ユウタは心臓をやられ即死
勢いの落ちた銃弾を受けた女の子だったが 肺をやられて倒れた
涼原は首に銃弾を受けて床でもがき苦しむ 長くは持たないだろう
立ち去ろうとする杉山の足を掴む女の子
苦痛に顔を歪めてはいない
「木葉によろしく」
杉山は最後に笑ってみせて女の子に銃弾による救済を与えた




