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DESTRUCTION

杉山が目を覚ましたのは戦闘から一日がたったあとであった

この間に閉ざされた街は大きく変貌を遂げていた 炎が闇を紅く切り裂き ドラゴンの口から放たれる業火は留まることを知らない

上空からの襲撃で逃げることもかなわない残された人々

やがて火の手は街全体にまで及ぼうかとしていた

ゲームセンターに涼原はいる

炎が迫るゲームセンターは熱で息苦しい

どうせ助からないのならと 涼原はゲームを繰り返している

もちろんそれをやめたからといってドラゴンが今度も去るとは限らない

繰り返されるゲームオーバー 涼原の精神は崩壊へと向かい ついには錯乱し備え付けの椅子でゲーム台を壊し始める

そこにユウタにおんぶされて女の子が飛び込んできた

「おい 何やってるんだ!?」

女の子の声に驚いた涼原だったが逃げることはしない ゲーム台はすべて破壊されたあとであり 涼原の凶行はすでに遂げられていた

「全部壊れてる」

ユウタが言った

女の子はユウタに突撃を指示して涼原めがけて突き進む

とっさに涼原は身を守ろうと腕を突き出したがユウタはものともしなかった たまらず転倒して頭を床にぶつける涼原

乗り物のように使役するユウタから女の子が降りると かつてはユウタを拘束していたビニール紐で涼原の両手を縛りあげた

「お前はドラゴンの生贄になれ」

悪魔めいた女の子の言葉に涼原はしたがうことしかできず ユウタは楽しそうに笑っていた

「こいつは?」

目を覚ました杉山が隣で手を握っている木葉に尋ねる

木葉は医者になれなかったという島田を紹介する

「この人 島田さんが杉山君を助けてくれたんだよ」

起き上がると杉山は窓へと向かった

業火が街を焼いて 空を舞うドラゴンが確認できた

「きっと誰かがゲームをプレイしたんだ」

島田の言葉には諦めたような落ち着きがあった

「どれくらい寝ていたんだ?」

杉山に島田は一日目を覚まさなかったことを告げた

「たまに銃声が聞こえるの」

木葉が状況を伝えると杉山にはわかった

自分以外にゲームに挑んだ連中が動いているのだと

ゲームセンター辺りが燃えているのが見える

「混乱に乗じてあぶり出された連中を狩っているんだ それも一方的に・・・」

島田は言うと胸ポケットから出したタバコに火をつけた

「間に合わないかもしれない それでも諦めるわけにはいかない」

杉山は覚悟を決めた

自分たち以外の命を奪ってでも生き残る覚悟を

飛び出す杉山とそれを追いかける木葉 去り際に木葉が言った

「ありがとう」

気持のいい感謝の言葉 あとは二人ならきっと上手くやるだろうと島田は満足していた

辺り構わず業火は空から降り注ぎ 下手に歩いているとそれだけでお終いだ

建物から建物へと向かい隠れている人を捜す

できるだけ外を避けて移動する杉山

狙撃されることを警戒し また効率的に狩るつもりなのだった

「殺してもいいよ 生き残るためなら誰だって

わたしを殺してもいい」

木葉が杉山に言った

「誰を敵にまわしても木葉 きみは俺の側にいて欲しい」

嬉しい気持ちが絶望的な世界でも木葉を満たす ずっと杉山の側にいれたら幸せかもしれない

毎日のように杉山の釣った魚と缶詰でもいいかもしれない

木葉はそういった未来を想像しながら走った

「誰かがこっちへくる」

壁に張り付き身を低くする杉山 それにならって木葉も動いている

燃え上がる炎の壁を抜けて男たちが走っていた

助けを求めているのだと この距離で木葉にようやく届く 杉山にはもっと早い段階で彼らの声が届いていた

「彼らを殺すよ」

当たり前のように言えてしまう杉山

本人はきづいていないがその背中は震えている

彼らの声がより大きく聞こえる

距離が十分に詰まった あとはアサルトライフルを出して撃つだけでいい

向こうからは杉山と木葉の姿は見えていない

「殺せないの?」

アサルトライフルを出した杉山は動こうとしない

彼らがちょうど二人を横切ろうとした瞬間

杉山のアサルトライフルが銃弾を放った

後ろにいた木葉が杉山の手に重ねてトリガーを引いたのだ

時間にして三秒ほどであっただろうか

強く握られた杉山の手にはとても嫌な感情が流れ込んだ

生き残るために命を奪う それも敵意を向けていない相手の命を

木葉が杉山の代わりにやってのけたのだ

杉山から木葉が離れると 彼らはもう動いていなかった






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