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ESCAPE

涼原が意識を取り戻すと 外にはドラゴンの気配があった

ゲームセンターの外へ出る勇気はない

膝を震わせ体を小さくし現実からの逃避を始める

周辺に点在していた小さなグループがドラゴンの来襲に戦慄し 息を潜め今回の犠牲者が自分たちから出ないことを祈っている

そこに木葉の姿もあった

杉山を心配して飛び出したのだが 突然のドラゴンの襲撃で身を隠した場所がかつてリーダーの側近をしていたグループであった

「きっとここは気づかれてる」

木葉が動こうとしない彼らに真実を告げた

ドラゴンとの遭遇は始めてではない 木葉の経験が彼らに生存の可能性をもたらした

簡単な作りの五階建てマンションだ ドラゴンの意識が向けば倒壊は免れない

ドラゴンに対して死角になっている脱出ルートは二つである 非常階段とベランダから伸びた火災用の梯子だ

二手に別れるようなことはせず全員でベランダから梯子で移動を始めた

木葉を加えて七人全員がマンションから離脱できたが ドラゴンもおとなしくするつもりはなかった

咆哮とほぼ同時にマンションは砕け 大きなドラゴンの目が彼らを見つけた

「もうダメだ」

そう呟いて生きることを諦める男たち 彼らに向けて大きな前足が迫る そこから伸びる爪だけでも人の大きさとは比較にならないサイズである

木葉は突き飛ばすようにして隣にいた男と身を伏せた

大きな衝撃が大地を揺さぶり 彼らはアスファルトに付着する染みとなった

運良く指と爪の隙間にいた一人の男がいた

声にならない悲鳴をあげ立ち上がり全力で走った

猫や犬が小さい命で遊ぶのと同様に ドラゴンはゆっくりと地面を這って背中を追った

「今のうちに逃げるぞ」

すぐ近くをドラゴンの巨体が通過したが 木葉と残された男には興味を示さなかった

活きのいい命で遊ぶことにドラゴンは夢中なのだ

やがて活きのいい命もドラゴンの口に捕まれると 抵抗もできずに噛み砕かれてしまった

彼には悪いが木葉たちが逃げるには十分な猶予となった

「どこに行くつもりだ?」

男が先行する木葉に走りながら言った

木葉には答える余裕はなかった こんなに走ったのは久しぶりで息が続かない

木葉が杉山のもとへ辿り着くと 事態が深刻であるのは一目瞭然であった

「止血くらいじゃ間に合わないぞ」

遅れてきた男が慌てる木葉に警告した

杉山の体から溢れた血液はすでに勢いがなく 出血も止まろうとしている

けれども相当な出血から意識はなく 顔色も悪いなんてレベルではない 男は杉山ならばまだ間に合うかもしれないと判断した

「血液型は?」

突然の質問に慌てるも 木葉はわからないと答えた

しかし聞きたいのは杉山の血液型ではなく木葉の血液型であった 木葉の血液型はO型であり輸血が可能である

近くに病院はあったが保存されている血液はもうダメだろうと男には思えたのだ

意識のない杉山を担ぎ上げて男は行動を開始する

「あなた医者なの!?」

声をかける木葉に男は言う

「医者になれなかった失敗作だがね」

期待と不安の入り混じった感情が木葉を包む

それでもこの男に杉山を任せるべきだと冷静に木葉は気持ちを落ち着かせた









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