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RIFLE

どうやらゲームセンター近辺の幾つかの場所は機能していたらしかった

ずいぶんと汚れた衣服と体をリーダーに案内された家で洗った

住人はどうやら異変が起きてから留守のようである

リーダーたちはこの家を借りているのだという その割には散らかし放題で缶詰やスナック菓子の袋が散乱していた

よそ様の家を借りているという認識が薄いようだ

もちろん緊急事態であるのだから両親の呵責は誰もない

三人はとりあえずの服をタンスから引っ張り出すと着替え くだびれた服を洗濯機に放り込んだ

「残念だけどテレビもラジオもつかないんだ」

そういってリモコンで遊ぶリーダー

やはり側近を連れている

「時折現れる敵にはどんな意味があるんだ?」

杉山が問う

それに関しての明確な答えはわからないようで

側近を交えて幾つかの推測が返ってくる

「さっきのゲーム内では制限時間があっただろう?

あれのようなものかもしれない

僕らがゲーム攻略をせずに それこそ自給自足の道を選択することを拒んでいるのかもしれないね」

アンテナ豚は強いわけではない 複数人でかかればやられることはまずはないと思える

だが 停滞すればもっと強力なドラゴンに匹敵する何かが投入されるかもしれない

なんとなくだが木葉もそう感じた ゲームでいう稼ぎ対策であったり安置潰しだ

女の子が木葉に伝えたPKがまさにそれであった

ゲーム進行を停滞させないためのゲームルール システムだ

ともあれ今はつかの間の日常で体を休めることが先決だった

三人はリーダーたちに見守られ順番に眠りについた

最初に目を覚ましたのは杉山で次にリーダーだった

外から男の悲鳴が聞こえたのだ

ゲームセンターからも人が飛び出し 杉山リーダーも靴も履かずに外に飛び出す

「ゴーレム!?」

リーダーが言った

石の彫刻が動いている それもかなりのサイズの石の彫刻がだ

見るとすでに数人がゴーレムに殺されているのがわかった

逃げようと思えば逃げれる だがゴーレムが見ているのは人ではなくゲームセンター

近寄る人間には攻撃を加えようと太い腕で殴りかかるゴーレム

動きは遅く距離をとることは容易であった

だがゆっくりと踏み進む彼を止める手段がない

「ゲームセンターを狙っているぞ!!」

側近が声をあげて慌てふためく烏合の衆をまとめようとする

目の前に潰された同志が転がっているのだ 死を目の当たりにして兵士にはなれそうになかった

「武器はないのか?」

思案するリーダーに杉山が迫るも せいぜいあってもナイフ程度だっただろう

決断しかねるリーダーに変わって動いたのは杉山だ

「こっちだ!!」

背後から膝に勢いをつけた蹴りをくらわせた

もちろん手応えはない

意識をゲームセンターとは別方向に向ければそれでよかった

「ゲームセンターが破壊されたら終わりだ」

誰かが口を開くと一斉にその思いは伝染し烏合の衆であった人々が団結した

「囲むんだ!!正面は牽制するだけでいい!!」

リーダーの声に士気が高まる

左右から武器を持った者がゴーレムの膝を狙う

バットや鉄パイプ 手製の槍などもあっただろうか 幾度となくそれらで攻撃を繰り返すも ゴーレムには効果がまるでない

表面に傷が入るばかりで亀裂さえ作ることはできない

疲れて足が止まったものから石の拳に殴り潰され絶命する

このままでは犠牲者が増える 早く倒さなければ 強い武器があれば

杉山の中で爆発する想いが形となって現れる

「下がれ!!こいつは俺が倒す」

十分な殺気を帯びた杉山の声に全員が従った

杉山の手にはアサルトライフルが握られており

銃口は膝に狙いを定められていた

跳弾を警戒してみんなが下がるのを確認すると 杉山が思いっきりトリガーを絞り銃弾がゴーレムの膝を突き刺す

硬いゴーレムの膝に銃弾が弾け甲高い金属音が鳴り響く

あっという間に銃弾が途絶える 弾が切れたのだ

それでも杉山には確信があったゲームと同じ感覚があったからだ 空になった弾倉に再装填される弾丸

その間にゴーレムは反撃しようと拳をみまう

杉山は懐から股をくぐり抜け 今度は背面から同じ膝を狙う

亀裂が入った瞬間に膝は砕け散り ゴーレムがうつ伏せに倒れる

歓声と銃弾がゴーレムを撃ち やがて頭部を破壊されたゴーレムは蛍光色の体液を四散させて消滅した








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