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世界設定
明日 世界が終わればいい
明日 全人類が消えればいい
遠い国で戦争やテロで人が死んでも飢えても
それは情報として伝わるだけでリアルに感じることができない
すれ違った人の顔はもちろん 昨日何を食べたのかさえ思い出すことはなかった
人の命は永遠ではない
それは誰しも理解している 今日という日は二度と訪れることはないし
また過去は離れる一方で未来からは逃れることはできない
自分と他者の境界が曖昧になり 他人に興味を持てず また自身にも興味を持てず・・・
諦めることになれた若者が未来を拒み ただ漠然と今を浪費する世界
世界的な不景気や治安の悪化などが原因であるのか?
理由は定かではないが 蔓延する希薄な意識が若者達を包んでいた
彼らが求める物は高価な時計でもクルマでもなく また豊かな生活でもなかった
ゲームだ
制限された自由と引き換えに彼らは非現実を求めたのだ
インターネットが個人と個人をリンクする少し前の時代 非現実が現実に取って代わろうとしていた