32.実は問題が発生していた
まぁ、閑話みたいな感じで…
短いです。
テティスが龍になったあの日。
色々あって忘れていたのだが実は生死に値する大問題が起こっていた。
察しのいい人にはもう分かっているだろう。
そう…
「俺の家が…」
家が全壊してしまったのだ。
珍しくもコルトーが慰めるような顔で、ポンと俺の肩に手を置いた。…はぁ。
諦めろ、ってことだよな。
…もういいや。うん。
「ま、まぁこれから世界中に飛び出すんだったらちょうどいいよな!」
飛びきりの笑顔で騒ぐ。空元気ともいう。
しかし、俺が沈んでテティスが気にしてしまうようではまた困るので、この際、空元気でもなんでも明るく振る舞わなくてはならないのである。
「で、闘うってどうすりゃいいんだ?」
なんとか違う話題にすり替えることに成功した。
コルトーの鋭さが、今日ほど嬉しく思ったことはないよ。
「ま、災害といっても僕やエコーやエイムのように妖精ってことになってるから」
無理な話題転換に、なにも突っ込まずに続けてくれた。…コルトーさん。テティスに向けるその優しさの一割くらいは俺に向けて欲しい。
「エイムのときみたいに力業か、エコーのときみたいに説得するかかな?まぁでも大体、あいつらはただ暴れたいだけな奴が多いからねぇ。生まれたての若造だし」
…力業って……。
ていうか、いつも思ってるのだがいったいコルトーはいくつなのだろう。軽く千とか越えてそうだよな!
旅に…でるのか。
なんか冒険みたいでちょっとワクワクするな!
でも…力業とかエコーのときとか言っていたということは危険、ということだ。
ここに残していこうにも家は壊れてしまったし…。まぁ、聞いてみて、残るというならもう一度つくればいいか。
「レム、お前はどうする?」
「ついていきたいです!」
間髪あけずにレムは応えた。
――んー、やっぱりなぁ…。
じゃあ、やるしかないか…。
「だったら特訓をするぞ」
俺には自衛手段があるが、レムには今のところない。
ここ数年の家がないときの森でのサバイバル生活の成果をレムには伝授してやらねばならん!
「えぇぇー!」
不満そうな顔をしても駄目だぞ、レム!
俺はやる気だからな、ははは!
ヘイロン「いや、八つ当たりじゃないからね」
レム(八つ当たりなんだ…)




