第六話 それぞれの音②
〜前回のあらすじ〜
貴子と隆志ら率いる、ナギサノユラギの五人の演奏が、遂に始まった。
出だしから圧倒的な実力を見せつけ、会場を自分たちのペースで満たしていく。
品のある多彩な歌声の貴子、彼女の過去を知るドラムの好恵、口は悪いが家族の思いも背負うベースの白田。
それぞれがステージに立つ理由を音に込め、彼らの決勝が始まる。
◯ナギサノユラギ キーボード
◯南ゆうか 二年
貴子の歌は、いつも優しい。
そんな彼女の声が、ずっと好きだった。
隆志と一緒に歌うようになったのは、少し意外だった。
——もう、歌わないと思っていたから。
今、二人は誰よりも楽しんでいる。
だからこそ——
私の音で、もっとカラフルにする。
右手の可動域を広げ、パラパラと鍵盤をなぞる。
それに合わせて、曲の表情が変わる。
さっきまでのキャッチーさは消え、
残るのは——声と、鍵盤。
広がるのは、静けさ。
けれどそれは、空白じゃない。
恋の輪郭だけが、はっきりと浮かび上がる。
会場の密度が変わる。
最前列の空気が、静かに引き締まる。
——あの女を除いて。
ポン、と柔らかい和音。
もう一音。
さらに、もう一音。
ゆっくりと。正確に。
——ドラマチックに 愛を歌って
——できれば僕だけを 見ていてください
過去だけじゃない。
今の想いも、ちゃんと乗っている。
それでいい。
焦らず、崩さず、一つずつ音を繋いでいく。
ここからは——ラストスパート。
貴子の想いは、もう揺れない。
だから——
この音は、私たちが守る。
もう絶対に、壊させない。
キックの四つ打ち。
ゆっくりと立ち上がるベースライン。
スネアとフロアタムが重なる。
一瞬のブレイク。
——世界中の誰もが 一つに繋がれる夜だ
その瞬間、笑顔が弾け銀髪が跳ねる。
私のツインテールも、意志みたいに揺れる。
そう。
この音で、この瞬間を一つに。
——あの日の続きを、今度は私たちが。
——太陽が昇っても君の輝きは覚えてるから
——例え形が欠けようと 君は君だよ
好恵のスネアで、もう一度押し上げる。
そこに、白田のベース。
深く、遠慮なく空間を抉る。
嫌な奴だった。
……今でも、その印象は変わっていない。
——お前の音、軽すぎる
——今そこ、弾く意味あるか?
何度言われたかわからない。
正しいから、腹が立つ。
一年の頃。
夏の合宿の後に、スタジオでミーティングをしていたときだった。
近くから、低音が漏れてきた。
無駄に重くて。
でも——芯もあった。
いなくなったパートだったからか、気づいたら声をかけていた。
——お前らみたいなのと、つるむ気ねぇ。
——一回だけ。それ以上は関わんな。
そうやって目も合わせずに、帰っていった。
次の日も、その次の日も、懲りずに声をかけた。
……今思えば、強引だったのはこっちかもしれない。
荒れているのに、几帳面で。
強がっているのに、どこか寂しそうで。
そんな音だった。
後から知ったが、夏休み前に父親が亡くなったらしく、学校に来ていなかった時期だった。
隆志のクラスの、空いた席。
それを知ったとき、距離は一気に縮まった。
面倒そうな顔のまま。
でも——
少しだけ、緩んでいた。
だからこそ。
左手で、低音を深く押さえる。
消さない。
この音は——このバンドに必要だ。
優勝は、
私たち以外、ありえない。
——そう 誰よりも何よりも
——君は綺麗だ
最後の歌詞と共に、照明が全開で貴子を照らし出す。
人間も月も、一人では輝けない。
様々な柵を乗り越え、私たちは今ここに立っている。
——ありがとう。みんな
——最高にカッコいいよ。貴子。
♫♫♫
◯ナギサノユラギ ギター
◯川村隆志 二年
歓声が、遅れて押し寄せる。
一曲目のアウトロを、やたらと煽る。
貴子はギターをスタンドに置くと、自慢のマイボトルで一口だけ水を飲む。
それから、手を叩いて高く掲げた。
……こんなにはしゃぐのは、珍しい。
——あの日以来かもしれないな。
音を溜め込む。
誰も次を出さない。
その、ほんの一瞬の隙間を——
好恵がドンと叩き割る。
間を置かず、ビートが走る。
ギラついたリズムが、空気ごと押し潰す。
スネアの跳ね方が違う。
躍動の中に、ほんのわずかに混ざる——闘争心。
キックも、いつもより重い。
着実に、腹に来る。
加入当初、アイツの妹だとわかったときは、正直何か裏があると思っていたが。
ちゃんと“自分の音”で向き合っていた。
——見てるか。
あの場所にいた、誰か。
お前が離した音は——
今、ここで鳴ってるぞ。
ジャラジャラ、と弦をなぞる。
歪みは、いつもより強く。
さっきまでの空気を、この音で——壊す。
リフを刻む。
美羽が大袈裟に驚いて、雪穂にまとわりつく。
香織は——
昔と同じ顔で、ほんの少しだけ寂しそうに笑う。
智子は、相変わらず腕を組んだまま。
あのメガネ女だけは、最後まで表情を崩さない。
……それでもいい。
全部、まとめて叩き込む。
これが——俺たちの音だ。
リフの上に、声が乗る。
——誰も彼もまた同じ顔
——刺激がないなら用済みです
——「あなたのため」は欲しくない
——アタシも碌に知らないでしょ
叩きつけるような言葉。
それなのに——
声は、やけに柔らかい。
歪んだギターの奥で、その温度だけが浮き上がる。
削るようなリフと、突き放すみたいな歌詞。
それでも——
どこかで、ちゃんと“掴んでくる”。
熱がじわじわと形を持ち、青い炎みたいに燃え広がっていく。
客席の奥で——
啓一が、わずかに視線を逸らした。
貴子から、
わざとらしく——好恵の方へ。
その反応だけで、十分だった。
南のピアノが、追い討ちのように差す。
冷たい音だが——どこかで、ちゃんと寄り添っている。
もう一度歌に入る、その直前。
貴子が、ふっと笑った。
——たった一人にだけ、向けるみたいに。
——優しくしないで 疲れるわ
——その視線だけで 察せるの
……エグいな。
改めて聞くと、容赦がない。
カラオケで初めて会ったときは、もっと静かな女だと思っていたが、関わってみると冷酷で、淡々と本質を突いてくる。
できれば——敵に回したくないタイプ。
……まあ。
言ったら怒るだろうけど。
いや。
案外、膨れて笑うかもしれない。
——女は心が強いから
——弱いフリができるのよ
……強い、か。
真介に何か言われたときも。
香織や雪穂に詰められたときも。
いつだって物怖じもせず、淡々と笑って流す。
——あのときもそうだった。
そういう一面を見てからは、全部が違って見えた。
♫♫♫
あのカラオケの日の、少し後。
中間テストに向けて勉強しようと、
香織と美羽と、いつも通り帰っていた。
「やべ。テキスト忘れたかも。取ってくる」
「えー!ウチの見せてあげるよ〜」
「お前のは変な落書きしてるからダメだ」
「はー?イミフ〜」
「いいよ。先入ってるから」
「悪いな。すぐ戻る」
「なんか奢れし」
軽口を交わして、教室に戻る。
机に置きっぱなしだったテキストを掴んで、
そのまま昇降口へ向かう——途中。
声がした。
「——」
何を言っていたかは、覚えていない。
でも——
誰の声だったかは、はっきりしている。
貴子だった。
小さく、押し殺すように、……泣いていた。
——あんな顔も、するんだな。
クラスで見る顔とは、まるで違う。
優雅に笑って、少し強気で、どこにも隙のないお姫様。——そんな印象だった。
だからこそ、余計に目が離せなかった。
「大丈夫。そのときは、俺がなんとかするから」
啓一が、震える肩をそっと抱き寄せる。
慣れた手つきで、迷いもない。
……当たり前か。
あいつは、そういう立場だ。
それでもその背中が妙に引っかかり、しばらく動けなかった。
ただ——
その光景を見ることしかできなかった。
……たぶん。
このときからだ。
少しずつ、視線が変わっていったのは。
憧れとか、そういうのとは違う。
もっと——近くで見ていたいと思った。
このときの俺は、まだ知らない。
あの涙の理由も。あいつの言葉の意味も。
——何も、わかっちゃいなかった。
♫♫♫
◯ナギサノユラギ ボーカル
◯澤森貴子 二年
昔から、不自由はしてこなかった。大抵のものは、望めばすぐに手に入った。
財閥企業、澤森グループの一人娘として可愛がられ、行きたい場所にも見たい景色にも、困ることはなかった。
屋敷には、いつも人がいた。肩書きばかりが立派な大人たち。
顔を合わせるたびに、決まったように笑って優しい言葉をかけてくる。
——その全部が、どこか薄っぺらく見えた。
音にちゃんと出会ったのは、子どもの頃に見たコンサート。
グループ会社がスポンサーをしていたらしく、父と関係者に連れられて、会場に向かった。
……本当の目的が別にあることくらい、そのときの私でもわかっていた。
どうせまた、退屈な時間が続くだけ。
そう思っていたのに——
一音目で、全部がひっくり返った。
空気を裂くような轟音。
綺麗とは言えないはずの音が、まっすぐ、内側に落ちてくる。
荒れているようで、だけどどこにもブレがない。
全部が繋がっていて、全部が意味を持っている。
一つ一つが熱を帯びて、空間の色を変えていく。
気づいたときには、もう——目が離せなかった。
あそこにいる人たちは、誰かの顔色なんて見ていない。
ただ、自分の音で、自分の時間を生きていた。
——それが、羨ましかった。
私が欲しかったものは、
全部、そこにあった。
音の中にいるときだけ。
全部、忘れられる。
歓声も、視線も、家柄も。
——決められた役割も。
やっと見つけた、私の音。
あの人も、きっと同じ顔をしている。
だから——今だけは、好きに歌わせて。
♫♫♫
——唇だけは触れなかった
——所詮はアンタも意気地なし
……もう、どうでもいい。
あの人のことなんて。
グループ会社の役員のご子息。
両親に決められただけの、相手。
もちろん——
楽しくなかったわけじゃない。
ちゃんと、好きだった。
将来だって、何度も妄想した。
私に何かあったときは、前に出てくれたこともあった。
あのときだって——
家族の代わりに、言葉を選んでくれた。
優しさも、大きな手も、意外と好き嫌いが多いところも、全部知っている。
それでも。
そこは——
私が、私としていられる場所じゃなかった。
……違う。
あの人のせいじゃない。
そう思いたいだけかもしれない。
——奪ってあげる価値もない
——何のための長い腕?
サビ前。
白田くんの低音が、さらに深く沈む。
ゆうかのコーラスが重なり、鍵盤が軽やかに、凛と空間を走る。
ツインテールが、小さく跳ねた。
出会った頃と、何も変わらない。
♫♫♫
音楽に目覚めたあの頃。
どうせなら楽器もできた方がいい、と家族に勧められるがままに始めたピアノ。
その発表会で知り合ってから、当たり前みたいに、ずっと隣にいてくれた。
あの夜も。
あの人のことがあった日も。
何も言わずに、ただ側にいてくれた。
特に好恵とゆうかには、何度救われただろう。
こうして再び音楽ができていることが、こんなにも幸せだったなんて。
それと——
唸るようなリフが弾け、そのままサビへ突入する。
——アタシばっかり馬鹿みたい
——くだらなくて笑えるわ
——雨でも一人で踊れるわ
——温度だけが残ってる
——勝手に期待してたのは
——そりゃアタシの方だけど
——正義も悪もどうでもいい
——それが世界の本性
♫♫♫
あのカラオケの後。
真剣な顔で、聞いてきた。
「……なぁ。本当に、りさこわもって知らないのか?」
ほんの一瞬だけ、言葉に詰まる。
——知らないわよ。
そう答えるしかなかった。
彼は少しだけ考えてから、小さく息を吐く。
それから、
一歩だけ近づいてきた。
「澤森、っていったっけ。もっと歌えばいいのに」
足音だけで、不思議と優しさが伝わってくる。
「俺は、お前の歌——好きだぞ」
……あのときの顔は、今でも忘れない。
少しだけ寂しそうで、ちゃんと真っ直ぐだった。
あの瞬間。
心の中に、小さな居場所がひとつ増えた気がした。
ゆうかとも違う。
あの人とも違う。
——“それ”は、まだ名前がなかった。
だからこそ、私は歌う。
今度は、ちゃんと。
"実力で"、全部掴み取る。
夢も。居場所も。
——そして。
あの視線の先にあるものを。
——香織ちゃん。
悪いけど、こっちでも負けないわよ。
♫♫♫
一年の頃の、いつだかの昼休み。
教室は、いつも通りのざわめきに包まれている。
誰かの笑い声。机を引く音。
どうでもいい会話が、そこかしこで飛び交っている。
優雅に本をめくっていると、場違いなほど明るい声が響いた。
「きーちゃん!何読んでるの〜?」
美羽の声は、いつだって遠慮がない。
知り合って間もないのに、その距離感だけはもう完成していた。
「一緒に食べよ〜」
そう言って、隣に腰を下ろす。
ゆうかと香織、それに菫も一緒だった。
——あのカラオケの日以降、自然と顔を合わせるようになった。
多分、全部——美羽の勢いだ。
「うわ〜!オシャレなサンドイッチ!!これどこの?」
話題を回すのは、だいたいこの子だ。
使用人が用意してくれたものだと答えると、美羽は大袈裟に目を見開いた。
「え!?使用人?なにそれマジ金持ちじゃん!」
「だから貴子ちゃん、品があるのね」
「マジそれ〜!髪も綺麗だし、ほんと羨ましい〜」
騒がしい反応に、自然と空気が緩む。
「入試も一位って噂だけど、やっぱり英才教育なの?」
菫が、眼鏡越しにまっすぐこちらを見る。
「……どうでしょう。もっと厳しいところもあると思いますので」
曖昧に答えると、すぐに笑いに変わった。
「きーちゃんマジ謙遜〜!」
「美羽絶対興味ないでしょ」
「あるし!」
他愛もないやり取り。
——でも。
昔聞かされていた“大人たちの会話”よりも、ずっとまともだった。
……いや。
ちゃんと、“人の温度”がある。
——賑やかなのも、悪くない。
そんなふうに思えたのは、初めてだった。
しばらく駄弁っていると、不意に——
空気の色が変わった。
どこからか、軽やかな音が転がり込んでくる。
視線を向けると、校庭前の石段に腰掛け、男子に囲まれながらギターを鳴らす男がいた。
……やけに、楽しそうな顔。
音より先に、そっちが目に入る。
「隆志。またギター持ってきたの!?」
香織が呆れたように窓の外へ声を投げる。
その隣で、美羽が不満そうに顔を乗せる。
「いいだろ、別に」
「この前、吉田先生に怒られたばっかでしょ」
「そうだ〜!よしせんにチクる〜」
いつものガヤガヤ。
ゆうかは楽しそうに笑っていて、菫は呆れた顔のまま眼鏡を拭いている。
——なんだかんだ、誰も止めない。
気づけば、私も笑っていた。
「そうだ美羽!この前言ってたアニメのオープニング、だいたい弾けるようになったぞ!」
「マジ!?たかちー神かよ!」
「来いよ。聞かせてやる」
「行く〜!!せっかくだし、みんなも行こ!」
美羽は、また強引に巻き込んでくる。
断る理由も特にない。
……というより——
気づいたときには、もう足が動いていた。
♫♫♫
石段の前は、思っていたよりも人が集まっていた。近づくにつれて音がはっきりと輪郭を持ち始める。
軽いのに芯がある。
遊んでいるみたいなのに、ちゃんと外さない。
……上手い。
少しだけ、意外だった。
ただ騒いでいるだけの人間だと思っていたから。
「お、来た来た来た」
隆志がこちらに気づいて、軽く手を上げる。
その仕草が妙に自然で、まるで最初からそこにいる前提みたいだった。
「美羽どう?」
「うお〜マジで弾けてる!すご!」
「だろ?」
得意げに笑う。
でも、その笑い方は嫌味じゃない。
ただ純粋に、
“できるようになったこと”を楽しんでいる顔。
指先が軽やかに動く。
コードが繋がって、メロディが形になっていく。
——音って、こんなに自由だったかしら。
これまで聞いた“音”とは、何かが違う。
「ねぇ!かおたんもいるしさ、せっかくだし今日はここで撮ってみない?」
「え?ここで?」
「ほら!昼休み終わっちゃうよ」
香織は美羽に押されるように、隆志の横へ並ぶ。
「はい!じゃあ行くよ〜」
弾く直前——彼と目が合う。
——次は私だ、とでも言いたげな顔。
香織の歌は、安定している。
抜けが良くて、柔らかい。
たんぽぽの綿みたいにふわりと浮かんで——
それでいて、ちゃんと前に進む力がある。
その声に、周囲の空気が止まる。
近くにいた先生でさえ、気づけば足を止めていた。
「マジ最高の撮れ高!」
「香織ちゃん素敵!」
「山岸うめえな〜」
「隆志もよかったぞ!」
歓声が弾け、そのまま誰かが歌い始める。
一人、また一人と続いていく。
——その流れの中で。
「……貴子ちゃんは、聞き専なんだもんね」
香織が、ぽつりとこぼした。
軽い調子に聞こえるのに——ほんの少しだけ、悔しさが混ざっていた。
ゆうかが空気を読んで、前に出ようとする。
「ダメ!ゆうっぺはさっきも歌ったでしょ!」
美羽が頬を膨らませて止める。
「次は——きーちゃん」
逃げ道は、もうない。
「……今日だけよ」
既視感のあるやり取り。
気づけば、隆志の隣に立っていた。
また——目が合う。
さっきよりも近い。
——何かを確かめるような視線。
……仕方なく、歌う。
最初の一音で、空気が変わった。
ざわめきが消える。誰も動かない。
——ああ。
やっぱり、こうなる。
息を呑む気配。見開かれる目。
——あの日と、同じ。
それなのに——
不思議と、嫌じゃなかった。
むしろ——
もう一度、歌ってもいいかもしれないと、思ってしまった。
……この人の前なら。
歌い終わる。
一拍遅れて、空気が戻る。
美羽が泣き出して、近くの女子にしがみつく。つられるように、拍手が広がっていく。
「これはやばい」
「貴子ちゃんの声、綺麗すぎ」
「澤森うますぎだろ」
「貴子様って呼んでいい?」
止まらない反応。
その中で——
「二人、ユニット組んでみたら?バズると思うよ」
菫の声だけが、妙に現実的だった。
お団子の位置が、今日はやけに高い。
「すーすープロデューサー!マジ名案!
ズバリどんな戦略でいきますか?」
「プロデューサーじゃないし、変なあだ名やめて!」
笑いが広がる。
——でも。
香織だけは、笑っていなかった。
何かを測るみたいに、じっとこちらを見ている。
やがてチャイムが鳴る。
奇妙な路上ライブは、そこで終わった。
人の流れに紛れて、教室へ戻る途中——肩を、軽く叩かれる。
「……なぁ」
振り向くと、隆志がいた。
「放課後、時間あるか?」
それだけ言って、男子の輪の中に戻っていく。
——その背中だけが、妙に残った。
ご覧いただきありがとうございます。
演奏シーンは書いていると
バンドやりたくなりますね!!
バンドはいいぞぉ〜!笑
というわけで、次回はいよいよ貴子回本番です
次回も、お楽しみに
夜留タクト




