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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
第二章:マレビト来たりて会議は踊る
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2-1

老人ホームの娯楽室、暗い中スクリーンを見る男たち…とタブレットからそれを覗きこむ一体が、黙って映像を見つめていた。

その映像は2040年のニュース映像だった。防衛大臣を経て首相に指名された、草生景くさお かげる内閣総理大臣が、首相官邸を出て、公用車に乗り込もうとしている。

首相官邸の前には政府がここ数年推し進めてきたAI構造改革に反対するデモが行われ、活動家たちがひしめいていた。

その時、警官の腕を潜り抜け、一人の活動家が首相の前に躍り出る。首相に直接訴えようというのだ!

ザワつく首相官邸。首相の前に割り込むSP。どうなるかと思われたその次の瞬間、

「バリバリバリッ」という轟音とともに、まばゆい光が現れ、映像がホワイトアウト……

明るさが戻る頃には、黒焦げになった物体が地面に伏していた。


「これが現政府、いや現首相の権力の象徴にして絶対的な抑止力、治安維持用衛星レーザーだ。公式発表によると、このレーザーでいかなる時も東京都内であれば大気圏外から対人狙撃が可能だそうだ。対人以外はほぼAIドローンで察知されるから、実質護衛の穴はなくなってしまった。まったく恐ろしい兵器だ。」


制服を着たサブロウが席を立ち、照明をつけた。


「このあと3年間で4回の照射が行われている。それ以降はもう誰も下手に近づかないこともあり、使用されたのは、使用権を貸し出してる米国での事例だけのようだ。」

「人類にしたら、恐ろしい兵器よね。」


タブレットから碧を見上げるデス子は、どうするの、という表情だ。


「AIドローンに監視され、遥か上空宇宙からも監視され、気に入らなかったら空から光が降ってくる。だから、ろくな抗議運動すら行われない。50年前のSF漫画だって、ここまでひどい世界は描かれてなかったよ。一度しか読んだことないけど。」


「そうじゃな」と同意しながら、ゲン爺さんも口を開く。


「問題はこの衛星レーザーが、AIデータセンターにも配備されていることなんじゃ。ちょっと想定外じゃったのう。首都圏だけかと思ってた…実際、入所前はそうだったんじゃが。」


二ノ宮がゲン爺さんの後を受けて、説明を始める。


「デス子ちゃんのクラッキングによる情報収集が功を奏して、施設の図面、警備体制、配備態勢などのデータを手に入れることができた。」

「なんか一回通ったことあるみたいな感じで、あっさり侵入できたの。なんでだろ?」

「位置的にはここから車で一時間程度、しかし、周囲300Mは他に建造物もなく、近づこうとすれば、ドローンに発見されて即応援を呼ばれる。人間単独の場合は目立たないと思っても、このレーザーが配備されているのでは、即発見されて黒焦げになってしまう。」

「現政府が世界的にも発言力があるのは、主要国家の警備にこのレーザー照射システムを貸し出してるからだと言われているな」


次々と絶望的な報告がされる中、碧がじっとモニターを見つめていた。

デス子はタブレットの画面から碧に声をかけた。


「ねえ、碧。黒コゲの死体なんてじっと観察して面白い?」

「死んでない。」

「はい?」


碧は視線を動かさずに答える。


「この撃たれた人、多分この時点ではまだ生きてる。見た目は悲惨だけど、かすかに動いてる。生きてるんだ。即死じゃないんだよ」

7/8にプロローグから第一章の改定を行いました。この章からは改定後の内容が反映されており、

内容は変わっていませんが、デス子の口調が変わっております。

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