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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
第一章:風が吹けば桶屋は儲かり、風車も回る
6/31

1-5

「お爺さんたち、話が分かるじゃない!そうよね、まずは日本からよね!」デス子はテンションUP!

「おいらも、もう一発バーンとぶちあげるぞぉ!」タマダさんもテンションUP!ついでに、さっきの碧の気遣いは台無しになった。

「碧君の漫画を見て、薬品の調合でできそうなのを思いついたんじゃ。」スギさんもフォッフォッフォがでないほどテンションUP!

「隣町に俺の鉄工所がある。工作機械はそのままだから、いろいろ作れるぞ!」ロクさんはもう飛び出しそうな勢いだ。

「いやあ、久々にいろいろ作ってみますかね。デス子君の力を借りれば面白いのが作れそうですよ。」前に何を作ってたか気になりますし、ツキさんの言う『面白い』は、ろくでもない気配がします。


4人と一体はノリノリになって、日本を壊すアイデアのブレインストーミングを始めてしまった。


「碧君、大丈夫か」


またもやショックのあまり表情の固まった碧を、今度はゲン爺さんと二ノ宮さんが気遣った。

相変わらずキャッキャしている4人と一体を見ていた碧が震えだしたかと思うと、

「ぶちぃ」という音が響いたように感じたと、ゲン爺さんと二ノ宮さんは後に語っている。

無言で立ち上がり、爺さんたちからデス子が入ったスマホをひったくると、無言で画面を操作しだした。


「副所長に報告します」

「待てー、ちょっと待て、話を聞いてくれ碧!ステイステイ!」

「君たちは正座!少し黙っていろ!」


ゲン爺さんが碧に縋り付き、スマホの操作を邪魔するも、身長差で届かず、それでも操作をさせなかった。

二ノ宮さんは調子に乗った4人を元教師の貫禄で反省させる。


「なあ、碧君、少し落ち着いて聞いてくれないか。私らも好き勝手やっているように見えるかもしれないが、正直、不安で潰されそうになる時だってあるんだ。考えないように、わざとやってることもある。それでもまだ私たちは、明るい未来を見せてもらった世代だろう。若者は私たち以上に良い未来を想像できないに違いない。景気も良かったことはないからな。」


二ノ宮さんが碧に向き合い、諭すように語りかけていく。


「私はもう80になる、息子も50過ぎだが、孫はまだ20代で、今度結婚すると報告してきた。」


碧も落ち着いたのか、スマホを握った手をおろすと、通話アプリを終了させた。


「私はまだ恵まれているほうだ。子供や孫に恵まれたし、まだみんな元気で生活できている。しかし、今の日本はそうじゃない人の方が多い。この施設に住んでいるお年寄りの大半は、子供のいない独身者か、家族の負担を嫌って自分から来た人たちだ。創造的な文化も科学の希望もない。こんな世の中にしてしまったのは私たちなんだがね。」


ゲン爺さんも口を開く。


「わしらが生きているうちに、この閉塞的な世の中を破壊して、これからを生きる希望を、他でもないお前さんにも持ってもらいたいんじゃ。本当はわしらだけでもやりたいところじゃが、お前さんとデス子嬢ちゃんの力は絶対必要なんじゃ。」

「でも、そんな日本をどうにかって、いくらデス子が凄くても、そんな途方もない話では…」


ゲンじいさんがニヤリと顔をゆがめ、悪そうな顔をする。


「それが、意外とそうでもないんじゃ。おそらくデス子嬢ちゃんのメインターゲットになるであろう『AIデータセンター』なんじゃがのう…ここから20kmくらいの距離にあるんじゃ」


そんな重要な施設が近所だったとは、碧も驚きを隠せないでいた。


「もちろん、現状われわれの状況改善が優先じゃ。だが、自由にさえなれば、一気に道が開ける可能性もある。」

「おいらたちからも頼むよ。さっきはなんとかなるかもって興奮しちまったが、夜空の道しるべになれる、これが最後のチャンスかもしれないんだ」


タマダたちもいつの間にか至近距離で正座したまま碧を見上げている。

碧は先ほどの騒ぎが嘘のように自分を見つめる老人たちを改めて見回した。

そして、スマホのデス子にも目をやる。この状況なら興奮しているかと思いきや、デス子までまっすぐ碧を見つめていた。


「やりましょう。」


それは10秒ほどだったのか、もっと長かったのか。静かに、そして確かに碧は答えた。

先ほどの碧ではない、流されるままではない。まだ頼りないが、前を見ている男の目になっていた。

と思った直後、「バタバタ」という音とともに、勢いよくリビングのドアが開かれた。



「お前たち!なにをやっている!」

「はい?呼んでないですよ!?」


飛び込んできたのは、私服だったが、副所長のサブロウだった。


2025/7/8改定

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