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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
第一章:風が吹けば桶屋は儲かり、風車も回る
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1-4

「「「デストラクションAI?」」」

「そう、碧にはデス子って呼ばれてるの。」

「なんで今出てくるんだよ…僕の感動を返して…」


碧が蚊の鳴くような声で呟くが、デス子はまったく気にせず、話を進める。


「そんなわけで、気づいたらこの施設のサーバーにいて、碧が『世界を滅ぼす方法を教えて』と言うから応えてあげたのに、一緒に破壊行動してくれないの。まあ、無差別に破壊するよりは好感が持てるし、アタシのボケにもちゃんとツッコんでくれるのは高評価!」


碧はカッとなって、思わずデス子に突っ込む。


「ツッコミ待ちの自覚あったのか!」

「おお、碧君、キレの良いツッコミだ。さすが漫画家志望。」


キクさんは納得してうんうんと感心しているが、碧は老人たちとデス子に振り回され、すっかり消耗してしまった。

そして老人たちは少年のように目をキラキラさせながら、デス子の映るスマホを正座で取り囲んでいた。

残念ながら碧の漫画が読みたいという言葉は、すっかりどこかへ行ってしまっている。

子供の頃に憧れたロボット物に登場する、主人公のサポートをしてくれる妖精のような見た目で、ハードSFに出てくるようなスリリングな能力と発言をするAIが目の前に現れたのだ。当然だろう。


「長生きはするもんじゃな。ワシは今この瞬間に心臓が止まっても文句は言わんぞ。あと10年は人生を堪能したいけど。」


ゲン爺さんは本気とも冗談ともつかない老人ジョークを披露しながらも、デス子から目を離さない。


「一応僕がセーフティになっているらしく、イタズラ程度ならできるけど、クラッキングなどの破壊活動は僕の指示プロンプトが必要なんだそうです。」


若干落ち着いた碧が、デス子のスペックについて補足した。


「で、お爺さんたち、せっかくだから、碧の説得を手伝ってよ。碧なら絶対世界の破壊者になれるのよ!見てみてこのネーム!」


次の瞬間、壁の大型ビジョンの表示が切り替わり、鉛筆で書かれた、綺麗な円と角ばった線の組み合わさったような絵に、几帳面にテキストが載せられた画像が表示された。


「絵は本当にヘッタクソだけど、発想は…アタシは人間の感性は分からないけど、アルゴリズムにビンビンくるの。」


なんということでしょう、老人たちが見たがっていた、碧の作品が次々と画面に映し出される。碧には無許可で。


「おお、これは!」「たしかに下手じゃ!」


絵は下手だが、ネーム形式なので内容はなんとか伝わった。まさに漫画という表現手法の勝利だった。


「なるほど、これはロボット系のようじゃな。ライバルとの関係が熱いのう。『昨日の敵は今日の友』。友情、勝利、努力は基本中の基本じゃからのお。」

「こっちでも見るか?」


と、デス子が自分の滞在しているスマホでも別のネームを見せる。


「おお、こっちはスパイものですか。これは漫画だけでなく、小説なども読み込んでいるようですね。」

「ああ、そのネームは……ロボットが格好良く描けなくて途中でネームを諦めたやつ。スパイものは整合性が取れなかったのと、妖艶な女性ヒロインが『妖艶って何?』って感じになって投げ捨てたやつ……」


碧本人にとっては黒歴史の画像の数々が、デス子により封印が解かれ、晒されていく。せめてペン入れをしている作品にしてほしかったが、デス子セレクションは、誤差の範囲の仕上げをされたものより、ネームの内容が気に入ったものを表示しているようだった。


ついに碧は絶望のあまり、床に膝をつき、そのまま『orz』のポーズで動かなくなった。


「おい、ゲンさん。ゴニョゴニョゴニョ」


しばらく鑑賞会が行われていたが、ロクさんの合図で老人たちは円陣を組むように集まり、ボケたりツッコんだり、中には寝てしまう者もいる中で、寝てたり若干揉めながらも話し合いを始めた。

さすがにショックから回復していた碧が、雰囲気を察して正座で老人たちに向き直った。

2分ほどすると、話がまとまったようで、老人たちも碧に向き直り、ゲン爺さんが話を切り出す。


「碧君、ワシらも手伝うから、いっちょ日本を滅ぼしてみんか?」

「はい?」


2025/7/8改定

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