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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
終章 されど禍福は糾える縄の如し
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終章 されど禍福は糾える縄の如し

ICBMの脅威が去った後。予定通り、デス子による世界的なクラッキングが実施された。

世界中のAIが関与するシステムは復旧不可能になり、世界は大混乱に陥った。各国も覇権争いどころではなくなった。まずは食料を確保しなければならないのだ。幸いなのは、AI効率化の比率が少なかった医療方面や、エネルギー関係が最低限のダメージで済んだことだろう。この辺りは事前に明の判断を取り入れた上で慎重に破壊を行った結果と言える。

一部の技術は第二次大戦後まで逆行したが、スタンドアローン端末も残されている。生きている者が懸命に働けば、助け合えば生きていける。他人の芝生を羨む余裕はない。そんな時代がまたやってきただけのことだ。


これまでの効率化の世界は破壊されて滅び、新しい時代がやってきたのである。

無論政治体制も大混乱だ。賄賂や利権のスキャンダルも明らかになり、現行内閣は総辞職した。吉田明議員が中心になり与野党関係なく、この混乱期でも動けた人間を中心に新内閣を発足させ、国民の生活を安定させるために動き出した。意外と言うか当然と言うか、草生景前首相からは叩いても埃が出ず、首相は退任したものの、新政府に閣僚として残り、吉田明新首相をサポートしている。忙しい日々だが、家族と過ごせる時間は増えたようで、本人は前より楽しそうだ。


これまで監獄型老人ホームに押し込められていた老人達も、本当に動けない者以外は、ほとんどが第一次産業、第二次産業中心に、労働に復帰することになった。耕作放棄された土地、AIが作業の大部分を行ってた工場など、働く場所はいくらでもある。

サブロウは、縮小再編される周辺の老人ホームの責任者として忙しく働いている。

大暴れした2-Bの老人達も自分たちの居場所を見つけ、老人ホームを退去していった。


この混乱の引き金を引いた佐藤碧は、元2-Bの住人、ロクさんの工場で働いていた。この工場ではAI用の農機具を人間が使えるように改良するなど、時代に合った仕事を見つけ出し、景気良く稼働していた。

碧は昼は工場で働き、夜は以前漫画家だった人物に指導を受けていた。


今夜は指導がお休みの日、碧は久々に漫画のネームを手掛けていた。

横のタブレットには何故かまだデス子がいる。

役目が終わった後、デス子のクラッキングは突然変異のウィルスとされ、破壊の限りを尽くした後に自滅したと発表されている。

もはやAIに居場所はない。デス子もデータが補完され破壊衝動もなく、きちんと碧の制御下で動くため、碧が使用する限り稼働を黙認されている。


先日、明からメールが届いた。子供の自慢話、忙しくて休む間が本当にないなどの近況と、国家クリエイター資格制度廃止の目処が立ったと書かれていた。自由に作品が発表できる世の中が来る。

結果的に掴み取った自分の未来。

今度こそ自分の作品を広く送り出したい。


と決意を新たにしてネームを切っているのだが……


「碧は本当に絵が下手よねえ。アイディアは最高なのに。」


残念ながら絵の上達は思うように進まなかったようだ。


「師匠の指導を受けながら練習してるから、そのうち見れるレベルになると思う……ちゃんと一人前の漫画家になって爺さんたちに読ませてやるんだ!」


デス子の方を向かず、ペンを動かしながら碧は答えた。


「あーあ、もう破壊するものもないし、デストラクションAIは引退して、生成AIでもやってみようかな。手始めに碧の漫画の絵を描いてあげるわ!多分碧より上手よ!」

「へ?」


デス子に絵を生成されては、自分の作品と胸を張って発表できなくなるのではないか…と困惑する碧にデス子が追い打ちをかける。


「早く描かないと、読ませたいお爺ちゃんたち、みんな死んじゃうわよ?」


碧に拒否権はあるのだろうか。


 終


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