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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
第三章:國の行末争うも、漁夫の利狙うは禿げた大鷲
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3-14

草生首相とSPが2名、そして高野議員がコントロールルームに入室してくる。

草生首相は目を細め、訝しむ表情で白石大臣に声をかける。


「白石大臣、吉田議員に口で勝てないからといって、先に手を出してはダメだろう。」

「いや、これは吉田議員が世界を滅ぼすなどと言うものですから。」

「まあこれだけ大がかりな仕掛けを用意したんだから、日本を滅ぼすくらいは想定したが、世界とは大きく出たものだ。吉田議員、詳しく聞いても良いものかね?」

「そうですね。まずデータセンターの中枢施設を占拠して、スパコンの処理能力を利用して世界中の産業AIと物流、ネットワークも全部破壊しようかと。」


首相は納得の表情を見せるが、白石大臣はまた血圧を上げて声も張り上げる。


「杜撰な計画だな!そもそもこの施設を乗っ取る事などできない。できたとして、世界を滅ぼしてどうすると言うのだ。混乱を引き起こして、虐殺者になるつもりか!?」

「まあ、私だけでは無理ですから協力者がいる訳ですけど。真の目的は人間の営みの再生。今のAIで効率化された日本や世界ではいずれ遠からず人は本当に滅びてしまうだろう。だからこそ今回の行動を起こした訳ですよ。私は痛みを伴っても未来を開く覚悟を持ってここに来た!」


不敵な笑みを浮かべながら高らかに宣言する明。

草生首相は目を見開き、内心は喜びを感じていた。AIに頼った日本の未来を憂いていたのは草生首相も同じだった。手段の違いはあれど、吉田議員は自分と同じ志を持つ政治家だったのだ。


「ふん、夢物語で時間稼ぎをするつもりだろうがそうはいかない。これを見ろ!」


白石大臣は現在の体制で利権を得ている立場だ。この流れを許すわけにはいかない。

コントロールルームのメインモニターに表示されたのは、荒野を走る数人の老人、一人は目立つ軍服のような装いをしている。明にはそれが誰かわかる。陽動部隊を指揮していたゲン爺さんだ。

この状況でメインモニターで映すということは、レーザーを照射できるぞという脅しだ。

明は笑みを消して真顔で白石と向き合う。


「ほう、わかったか。そうだ。今、衛星レーザーの照準はこいつらに合わせてある。いつでも照射できるぞ。」

「白石大臣、彼らは」

「首相、国の有事です。国防に関する細かい判断も多い故、この場は私にお任せ頂きたい。責任も私が取ります!」


草生首相は一旦黙る事にした。白石大臣が何をしたいかも見極めたかった。できれば犠牲は出したくない。白石大臣は気付いていないかもしれないが、これは普通のテロではない。犠牲者はまだ出ていないのだから。


「で、ここまでして私に何をお望みで?」

「真の目的や、賄賂の件も全部と言いたいところだが、また時間を稼がれるのも癪だな。質問に簡潔に答えて貰おう。脅しではない!」


白石大臣がレーザーの照射装置を作動させた。まさか本当に照射まではすまいと、見守っていた草生首相も意表を突かれる。

いつの間にか階段を上がってきていた碧が、状況を理解し顔を真っ青にして声を漏らす。


「あ…あああ……」


モニターはレーザーの発光現象で真っ白に染まり、照射先の様子はわからない。


「吉田議員、君の仲間は見つけ次第消し炭にしてやる。覚悟して早めに喋ったほうが身のためだぞ。」


レーザーを照射し、落ち着きと自信を取り戻した白石大臣がコントロールルーム内を見渡す。

今回の首都圏のデモやデータセンター襲撃の失態を首相に押し付け、自分が日本のTOPに立つ時が来たと感じていた。

白石大臣の自己認知が最大限まで高まったこの瞬間、メインモニターを乗っ取り、品の良い女性の姿が映る。


「碧さん、中枢部のスーパーコンピューターの掌握が終わりました。バックグラウンドで指示された作業は進めていますが、使えるコアに余裕あるため優先したい作業があればご指示お願いします。」


モニターに映った長い黒髪女性は、デス子の声で碧に呼びかけたのだった。


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