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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
第三章:國の行末争うも、漁夫の利狙うは禿げた大鷲
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3-13

2050年7月1日午前11時12分。データセンター1F通路。


最後の扉が物理的に取り除かれ、中枢施設への道が開けた。

中枢施設。データセンターの中核をなすスーパーコンピューター群だ。

整然と並ぶ多数のCPUとそれらをつなぐケーブル。排出される熱を制御するために空調もフル稼働している。

制御端末の位置は事前に調査済みだ。制御端末にデス子の入ったタブレットPCを直接接続すれば、チームの目標は達成される。あとはデス子の仕事…正確には、碧が適宜判断を下す必要はある訳だが。

端末への移動中、上から騒がしい声が聞こえるので目をやると、ガラス越しに見えるコントロールルームで、防衛大臣の白石が喚いているのが見えた。碧は事前にデス子に指示を出す。


「端末への侵入に成功したら、最初にこの部屋とコントロールルームに通じる扉を封鎖!それが終わり次第、予定通り施設のスーパーコンピュータの制圧をはじめて!」

「キャハハ。了解よ碧、任せておいて。」


制御端末に到達し、碧は端末とタブレットを接続する。


「あら、なんかこの端末、すごく馴染む! けど、この部屋とコントロールルームの扉には電子ロックがない完全な物理の扉ね。こちらから封鎖はできないわよ。」


直後、扉の開く音と階段を下りる音が聞こえてくる。

碧が焦りを見せうつむきそうになると、明が手が碧の肩を叩いた。碧が振り向くと、先程まで走ったり爆風で乱れていたはずの明の髪が整えられていた。


「ここからは私の仕事だよ。政治家の相手は任せてくれ。」


リクも先程まであれだけ動いていたのに、平時と変わらない様子で明の側に控えている。


「掌握が終わったら君もコントロールルームに上がってきてくれ。首相にも君たちをきちんと紹介したいからね。」


明は階段に向かいながら、碧に振り返り声をかけた。

防衛大臣の部下がドアを開けて階段へ降りてくる。階段の中程で明と対面した。


「吉田議員、こちらに何のご用ですか? 無断で国の重要施設に侵入するとは、議員のあなたでも言い逃れできない状況ですよ。」

「その点については全く弁解の余地も無い訳だが。まあこれも高度な政治の話でね。詳しくは白石大臣や草生首相も交えて話をしよう。上で白石大臣がお待ちかねだろ?」

「……吉田議員はもう一人秘書をお連れになっていましたよね。一緒では無いのですか?」

「ここに来る途中ではぐれてしまってね。エントランスにいるかもしれない。」


部下は中枢施設の奥を覗こうとするが、明が遮る。


「おっと、早く白石大臣と話がしたいんだよ。速やかに案内してくれ。例えば、この辺の有力者から不当な献金を受けてる件とかね、きちんと話しておきたいんだよ。」


明の話もそうだが、突然の告発めいた話の内容に威圧を感じた部下が一瞬固まるが、なんとか飲み込んで先導を始めた。


2050年7月1日午前11時15分。データセンター・コントロールルーム。


コントロールルームの中央で対面する政治家二人。普段は政策やら予算やらでぶつかり合う仲だが、今日はまた事情が変わってくる。

部下が白石大臣に耳打ちすると、その表情が一段と深く皺を刻む。

先に口を開いたのは白石大臣だった。


「吉田議員、貴様どこまで知ってる。そして何のためにこのデータセンターに来たんだ。」


吉田議員はかなりオーバーにやれやれという所作を見せる。笑顔も皮肉たっぷりに見えた。


「世界を滅ぼしにきたんですよ。正確には、現在の世界経済システムの崩壊が正しいんですがね。」


白石大臣が呆気に取られた後、ゲラゲラと20秒ほど笑ったかと思うと、その動きが止まる。


「巫山戯るな!貴様の力でどうやってそんな大それたことが出来ると言うのだ!」


激昂した白石が明の胸ぐらを掴みかかろうとしたが咄嗟に部下が止めに入る。


コントロールルームの扉が開き、草生首相一行が入室してきたのはそんなタイミングだった。


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