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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
第三章:國の行末争うも、漁夫の利狙うは禿げた大鷲
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3-10

2050年7月1日午前11時10分。陽動チーム作戦本部。


作戦本部では次の攻撃の準備と並行して、施設の監視観察が行われていた。

双眼鏡を覗く監視担当からは、現場の混乱や本部への侵攻がまだ先になりそうだと、報告が上がっている。

報告を受けたゲン爺さんは、テント内に設置されたセンサーモニターをチェックするオペレーターにも確認をとる。


「雲も晴れ間が見えてきた。そろそろ動きがあってもおかしくないはずだ。モニターに変化は?」                

「まだ反応がありま…」


ビビビビビビビビ!

返答を遮るように警戒アラームが鳴り響く。

アラームを止めたオペレーターが声を張り上げた!


「探査と思われる赤外線を感知!砲撃チーム付近を探査しています!」


警戒音を発したセンサーモニターは、衛星レーザーの探査や照準に使用する赤外線を感知させるためのものだった。


「きたな!よし、ライトデュフューザーを直ちに作動させろ!」


感知する必要があったのは、当然対抗策があるからだ。

軽トラックの荷台に乗せられた機材がうなりをあげて、隣接するタンクからバシャバシャと音をさせながら水を吸い上げる。

衛星レーザーを防御するために突貫で作成した物で、水を噴霧して、雲のように霧の壁を作り出しレーザーを拡散させる装置。用意された水は200リットル。一回限りの使い捨てバリアだ。

だが、一回で十分なのだ。一回でいい。衛星レーザーを防ぐという実績が力になる。そして陽動部隊の目的は時間を稼ぐ事だ。

二ノ宮参謀から作戦行動の変更が伝えられる。


「ロケット砲は現在準備が終わったものだけを発射して撤退だ。撤退のルートは事前の取り決め通り行う。本部班は赤外線センサーの組み替えだけ手伝ってくれ。」

「遊びの時間は終わりだ。ここからは本気で逃げるぞ!」


2050年7月1日午前11時09分。データセンター・コントロールルーム。


白石は口が歓喜に歪むのを必死で抑え込んで…いや抑えきれずに「グフフ」などとこぼしており、周囲の人間をドン引きさせていたのだが……


ともかく、部下には任せず自身の手でコンソールを操る姿は何かに取り憑かれたようであり、異様な雰囲気を発していた。


襲撃を受けた時点では位置関係がよくわかっていなかったが、衛星を介して上空から見るとよくわかる。

データセンターから1kmも離れていない小高い丘のような地点に、確認できるだけで5台のトラックが止まっており、そこから火線が走ったのを確認できた。二十人ほどの人間がわちゃわちゃと動いている。テロリストどもめ!


その中に指揮官らしき人間を見つける。

指揮官は自分に酔ってるのか、わざわざ軍人っぽい格好をして威勢よく指揮を出してる。こいつをこんがりと焼いてやれば、どんなに愉快なことになるだろう。恐怖に慄き、テロリストどもも次は自分という恐怖に囚われ。パニックを起こすに違いない。

天候も回復して晴れ間も見えて来た。衛星レーザーは使用可能な状況だ。


「さあ、裁きの時間だよ!」


白石は指揮官らしき人物に照準を合わせて、照射を行う。

照射実行スイッチから手を離した白石は、身体を駆け巡る快感を感じながらも、自省し冷静でいようとした。


「(まだだ。まだ笑うな。先程報告を聞いたが、ヘリも使えない状況らしい。車両を回して追跡し、コイツらを一人残らず逮捕して、今回の事件の背後を洗わねば!)」


そう、まだ状況は全く解決していない。これからの方が問題なのだ。だが気持ち良い。自分だけが操れる暴力の快感。正確にはコメリカにも権利を貸し出して使用させているのだが、実質的には白石が管轄し運用しているので間違ってはいない。

久々の直接実行の暴力。その結果を確かめようとした白石は目を見張った。

そこには黒焦げになった死体はなく、若干混乱は起きたようだが、変わらず動き続けるテロリスト達の姿があった。


「なんだと!?そんなバカな!?どう言うことだ!!」


白石の怒声に部下が答える。


「今モニターでリプレイを見たのですが、発射の直前から、このポイントだけ雲のような物が発生しておりまして。どうやら突如発生した水蒸気の壁のようなものに阻まれ、威力が減衰したようです。」

「さらに拡大してみましたが、一台の車両から急速に雲のようなものが出て、目標周辺を一時的に覆ったのが確認できました。

「なんだ、なんでそんなものが。まさか衛星レーザーの対抗策として用意していたと言うのか?」


愕然とする白石は無意識のうちに拳を握りしめていた。残念ながら彼の筋力では、爪が食い込む程に拳を握ることはできない。だが痛みはこれが現実だと教えてくれる。

白石が自分を取り戻す間もなく、下のフロアで鈍く音が響いた。


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