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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
第三章:國の行末争うも、漁夫の利狙うは禿げた大鷲
18/31

3-5

2050年7月1日午前10時50分。


AIデータセンターのエントランスでは、防衛大臣が中心になり、まもなく視察のために到着する野党議員2名を迎える準備の最終確認中だった。


それを見守る首相の内心は穏やかではなかった。エントランスのソファーに腰掛けながら、秘書の報告を受ける。


懸念点は2つ。一つは首都で行われている抗議デモの参加人数が、過去最大の規模の20万人に迫るとの情報だ。警備のために警視庁から最大限の人員で対応しているものの、人手が足らず、都知事から自衛隊の出動要請が出ていた。日本では治安維持を理由とした自衛隊の出動の前例はなく、難しい判断だったが、万一に備え、自衛隊の参謀本部には臨戦態勢での待機を命じ、都知事にもその旨を連絡したところだ。


もう一つは衛星からの観測データなのだが、このAIデータセンター周辺の交通量が普段より多いと言う報告だった。念の為にここ数日のデータをさらに精査するように指示を出している。


「このタイミングで何が起きている。何か胸騒ぎが。」


ふと防衛大臣に目をやると、首都の抗議デモを衛星から監視するデータに目を通しているようだ。ただし姿勢は完全な前傾姿勢で、モニターとメガネの隙間が2cm超しかない。

もしや、防衛大臣が先程からウキウキしていたのは、今回のデモで久々に衛星レーザーの出番を期待しているのでは?と邪推してしまう。


「胸騒ぎの原因はこれか?」


これはこれで頭が痛いが、胸騒ぎとは別のようだ。そろそろ胃痛や頭痛がでてくるのではないかと考えていると、秘書から報告が上がってくる。どうやらお客様が到着したらしい。

タブレットにかぶりついていた防衛大臣に声をかけて、出迎えのために外に出る。


2050年7月1日午前10時57分。データセンター正面玄関前


7月の空は少し雲が薄れて日光が差してくるタイミングだった。背中がジワリと汗ばむ感覚。今日は少し蒸し暑くなるのだろうか。


1分もしないうちに、年代物のリムジンが玄関口前に乗り付ける。大事に手入れされているがだいぶくたびれた印象だ。

もっとも真っ当な政治家ほど物を大切にすると感じている首相には好印象だ。吉田議員は世襲の若手で、議会では派手に振る舞うが、その実は堅実な国士なのだと改めて思う。そんな彼らを味方に迎えられるのは喜ばしい。足を引っ張る与党内の老人よりもよっぽど頼りになりそうだ。


リムジンから5名の男女が降り立つ。

連絡のあった吉田議員、高野議員とそれぞれの秘書、そして吉田議員が最近採用したと噂の若い秘書見習いだ。


「ようこそ吉田議員、高野議員、AIデータセンターへ。歓迎するよ。」

「首相自らのお出迎え感謝致します。」

「フン、私はまだ与党への合流に反対です。吉田議員がどうしてもというから来ただけです。」


首相の挨拶に握手で応える吉田議員、高野議員は取り付く島も無いといった様子だ。


「(見た目は良いのだがこの性格ではな。三人も子供が居る体型にも見えないし、女性はよくわからないな)」


などと思った矢先、警備担当の所員たちが慌て始めた。


「どうした?なにかあったか?」


視察団の人間も不安そうな顔になる。警備担当の所員が急ぎ報告をあげた。


「上空から3機のドローンが近づいています。今自動制御のドローンが迎撃に向かっていますので、すぐにレーザーで撃ち落とすはずです。」


まもなく轟音を上げ、警備用ドローンが急上昇し、警備エリアに侵入したドローンにレーザーを放つ。

レーザーはきちんと命中し、侵入してきたドローンはバランスを崩して落下するかと思われたその瞬間、吊り下げられたコンテナから拳大の物体がばら撒かれたのだった。


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