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世界の全てが嫌になったので、AIと世界を滅ぼしてみた  作者: 庄子貴裕
第二章:マレビト来たりて会議は踊る
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2-5

「衛星レーザー実働後、発言力を増した首相は、さらにAIを活用した効率化政策に着手。国家クリエイター資格、国家動画制作者資格、それと私たちの標的であるAIデータセンターを建設し効率化を推し進めたと。」


改めて狡猾な政府のやり口に苦虫を噛み潰したような二ノ宮がいた。

碧が解析したデータを共有した。


「衛星レーザーの配備状況も詳細なものが手に入りました。現在は5機のレーザー衛星が稼働中で、9時から16時までは関東全域をカバーできる体制のようです。動力は地上からの電波照射を広域アンテナで受けてバッテリーにチャージする仕組みで、発射後はリチャージと冷却で30分間は使用不能になります。次の衛星がカバーできる範囲もあるようなので、再照射までは平均して20分程度ですね。」


碧の報告を元に、改めて襲撃の立案を始めた。


「夜間はドローンが増量されるし、警備も逆にきつくなるみたいなので、昼間の方がまだましかもしれませんね。」

「正面からにしろ裏からにしろ、ただ侵入するだけでは無理ですね。」

「こういう時にドラマとかだったら、出入りの業者に扮して侵入なんじゃが、この施設は受け取りは外で、内部に運ぶのは作業ドローンの仕事じゃ。中には入れんのう。」

「昨日の敵は今日の友、押してダメなら引いてみな……。」

「ねえ碧、アナタさっきから何をブツブツと。」

「昨日の敵は今日の友!明さんだったら中に入れてもらえませんかね?」

「いや、政敵である私を重要施設に……政敵、ふむ。昨日の敵は今日の友、なるほど、言いたいことがわかってきましたよ。」

「あら、二人だけで通じる会話なんてずるい!」

「現在の首相にとって私は目の上のたんこぶのような、実質邪魔にはならないけれど、鬱陶しい存在でしょうねえ。だからこそですね!」


碧の計画とは!なんと吉田明一派を政府に靡かせて隙を作り出そうというものだった。政敵である明がこのまま抵抗しても益がないと察し、自分の会派の票を手土産に政府に合流を匂わせる。そして権力の秘密であろうAIデータセンターを視察させてもらえないかと、首相からの譲歩を引き出そうというのだ。

これは吉田明にとって自分の信念を売り渡す行為であろう。しかし、それを逆手に取り、自らを餌として、あの門をこじ開けようというのだ!


「そして視察団が敷地に入った時点で襲撃を行い、混乱に乗じて中枢まで侵入できれば……。」

「デストラクションAIによるクラッキングで、AIは愚か、ネットワークまでズタズタにできるとは、いやはや想像以上だね。素晴らしい!」


明は興奮して席を立ち、演説のように語り始める。


「前々から感じていたのだ。この国は歪み切って将来がないと。AIもネットワークもなければこの国は滅ぶも同然だろう。だが今ならまだ辛うじてやり直せる目もある。戦後、焼け野原から、立ち上がった先人たちのように、今生きる者たちで、将来の子供たちのために残すものが作れるかもしれない!」

「キャハハ。アタシの凄さが伝わったようね!わかったら、アタシをちゃんと中枢ルームにエスコートしてね。パスカードが入手できれば、途中のドアや隔壁も開けられそうなの。」

「頼もしいが、さすがにもう少し陽動が欲しいな。できるだけ可能性を上げて挑みたい。」


その時、背後に控えて今まで一言も声をあげなかったリクが、その重々しい口を開いた。


「明様、その陽動の役目、私がお役に立てるかもしれません」


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