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カモノハシと相撲の朝

作者: 梅野飴

「はいここで昇竜拳」

「ぐわあぁ!またやられたー!」

「イェーイ。これで俺の153勝12敗だな」

「お前マジ強すぎんだよ。あれか?子供の頃兄ちゃんとクスリとかやりまくってたクチか?」

「ゲームの強さと関係なさすぎるだろ」

「はぁーもう疲れた休憩休憩」

「えーもう一戦やろうぜ」

「いやもうねみいよ。何時間やってんだよこれ。もう朝だぞ」

「うお、マジか。眠くならねえから全然気づかなかった」

「腹減んねえ?なんか食い行こうぜ」

「んー別に減ってないんだけどな。てかこんな時間から空いてる店あるか?」

「築地市場とか」

「徹夜明けのノリで行くとこじゃねえだろ」

「あ、お前わかってないな。徹夜明けに食う一杯五千円の高級ウニ丼ってマジうめーから」

「それ徹夜明けじゃなくても美味いんだよ。余計な付加価値いらないんだよ。むしろ体調万全で食うべきだろ」

「朝なのによくツッコむなお前。カモノハシかよ」

「カモノハシなの?」

「いや知らないけど」

「とにかく、朝からそんなモン食う気にはならんわ」

「はぁー、これだから元相撲部は融通が効かなくてやだわ」

「相撲部じゃないけどな」

「お前あれだろ?どうせ部活帰りにみんなでサイゼで飲むロマネコンティの芳しさとか知らねえんだろ?」

「だから部活とかいらねえんだよ。むしろちょっと落としちゃってんだよロマネコンティの芳しさを」

「お前は本当によくツッコむし喋るな」

「お前が変なことばかり言うからだろ。もっとまともなこと言えよ」

「じゃあ俺が核心を突いてその口を黙らせてやんよ」

「やってみろよ」

「コーヒー牛乳とカフェオレってどう違うの」

「…………」

「ほんとだ」

「いや、思ってたんと違う黙らせられかたされたわ。なんか違うわ今の。もっかいやり直して」

「言い訳してんじゃねえよ。トコジラミか」

「わけわかんねえこと言うな」

「お前どうせあれだろ?朝イチでキメるクスリの気持ちよさとかわかんねえんだろ」

「朝イチでキメねえだろ」

「そうなの?」

「いや知らないけど」

「まあいいや。とりあえず徹夜の部活終わりの朝イチの築地でキメるクスリは最高ってことでいいな?」

「だから部活とか朝イチとか築地とかいらねえだろ」

「…………そっちなの?」

「あっ…………」

「…………」

「…………」

「おい黙るなよ」

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