17 初恋
「あ……佳世?」
「えー?もしかしてわかんなかったの?」
「あ、いや、昔のイメージしかねえからな」
「まあ、そうだよね。瞬も大分変わったかな?」
「そりゃな。高校時代と比べたら、しょうがねえだろ?」
「ははっ!確かに!それは私もおんなじだね!」
「ああ、まあ……なんてえか、大人になったな」
「そりゃあ、大人だからね!」
「そうか、そうだなあ」
「今実家に帰ってるんだって?」
「ああ、まあ……色々あってな」
「あー……ごめん、私、聞いちゃったんだよね、瞬のおばさんに」
「え?お袋と会ってるのか?」
「会ってるっていうか、近所のスーパーで偶に会うんだよね」
「あー……なるほど」
「あ!おばさんの事、怒らないでね?私が色々聞いちゃっただけだから」
「ああ、わかった」
「え、とさ……今時間ある?」
「ん?ああ、まあヒマだけど」
「じゃ、じゃあさ!飲み行こうよ!」
「飲み?佳世、飲めんの?」
「あんまり強くはないんだけどね?」
「俺も強い方じゃないけど」
「ね?色々話したいしさ!」
「わ、わかったよ」
そうして二人で居酒屋へ。
「佳世はどうしてた?」
「どうしてたって?」
「いや、仕事とか、結婚とか」
「んー、仕事はね?医療事務やってるよ」
「へー、良く知らないけど、大変そうじゃね?」
「うん、大変だけど、給料はそんなでもないんだよねー」
「そうなのか」
「うん。結婚は……してないよ」
「そうなのか?佳世、モテそうだけどな」
「あー、どうなんだろ。お付き合いはしたんだけどねー」
「結婚まではいかないのか?」
「長続きしないんだよね。どうしても」
「ふーん、飽きっぽいのか?」
「失礼な!そんなんじゃないよ」
「じゃあ、どうして?」
「……ずっと忘れられない人が居るから」
「えっ?」
「諦めようとして。何人かの男の人と付き合ってみたけど……」
「……」
「どうしても……ね」
「……」
「ねえ!店出よっか!」
「は?」
「これ以上飲んじゃうと、眠くなっちゃうし!」
「……お前な」
「ね?少し歩こうよ!」
「……わかったよ」
店を出て、佳世の後を着いていくと、あの時の公園に着いた。
「……ここ!ここで私の初恋は終わっちゃったんだ!」
「佳世……」
「バカだったなー!ホント!私ってバカだった!!」
「……」
「……もう、後悔……したくないの……」
「……」
「だから……だからね」
「新谷瞬君!私と、もう一度、初恋をやり直してくれませんか?」