14 佳世の本音と俺の気持ち
俺と佳世は帰り道にあるファミレスに立ち寄った。
「……なんだよ、改まって話って」
「あー……うん、えっとね……」
いつもはずけずけと話し始めるのに、言いずらそうな雰囲気だ。
あ、俺が兵藤先輩と佳世がキスしてる場面を見ちまったからか?
あの時はつらかったけど、今はもう……。
「あー、もしかして、俺があの時、見ちまったことか?」
「!!!あ、それなんだけど……」
「悪い、そんなつもりなかったんだ!たまたま通りがかっただけで……」
「違うの!見られた事自体がどうこうってワケじゃないの!」
「は?え、じゃあ……」
「……あ、あれは!あれには……ワケがあるの」
「ワケ?」
「うん、あの……さ」
「?」
「私は……ね?兵藤先輩の事が好きで付き合ったわけじゃないの……」
「は?どういう事だ?」
「わ、私は!瞬の事が好きなの!!!」
「……え?!!」
「中学に入った頃から……。だから……。少しでも意識して欲しくて、可愛くなろうって……」
「そ、そんな素振りなかっただろ?俺の事、男として見てないって……」
「は、恥ずかしかったし!関係が壊れるのも怖かった!」
そ、れは……。
俺も同じだ……。
「それであの時、レストランで瞬が相原さんと一緒にいるのを見て、腹が立っちゃって……」
「……は?!え?!」
「そ、それで……あの時兵藤先輩に告白されてたんだけど、勢いで受けちゃったの」
な、んで……。
「それで、やっぱり好きでもない人とは付き合えないって兵藤先輩に謝ったの」
「佳世……お前……」
「自分自身でも最低なことしたなって思ったから……。ちゃんと謝ろうと思ったんだけど……。兵藤先輩が思い出が欲しいって……。一度だけキスしてくれって……」
「……」
「そ、それで……流石にキスなんて無理だから振り払おうとしたら……瞬と目が合って……動けなくなっちゃった……」
な……。
マジか……?
この雰囲気は嘘を言ってる感じじゃねえな。
……なんてこった……。
「わ、わたしがぁっ……悪いのはわかってるけどぉっ……こ、れでっ……私の初恋が終わっちゃう……終わっちゃうのはぁっ……つ、らい……よ……」
佳世は必死に話そうとしているが、泣きながらになってしまって、途切れ途切れになっていた。
俺は言葉が出なかった。
そんな……。
普通にどちらかが告白してれば、上手く行ってたのか……。
俺は失恋なんかしてなかったのか……。
「俺もずっと佳世の事好きだった」