再構築
「おお、部屋が暖かい。まるで春のようです」
「今までどんな部屋にいたんだい、これが普通だよ」
北の魔女達は魔法によって制御された居城に転移すると、どっかりと長椅子に横たわった。
「しかし城はだいぶ薄汚れたね、それに掃除は見えるところだけみたいだし。メイドは何やっているんだい」
「そんなものはいません」
「まさかひとりで生活をしていたのかい。洗濯も自分でかい」
「ええ、先代の魔女に買われる前はやっていましたから」
「普通はそういうのを覚える前に連れて来るんだが」
「それでこれからどうします?私は生まれた村に帰ってのんびりしたいのです」
「村に帰ってのんびりできるわけないだろ、ここよりも厳しいだろう。お前が北の魔女を続けるんだ。お前に必要なことを教えるから、もう後継者を一から仕込むのは御免だよ」
「ん~、それならば仕方ありませんが。暗黒大陸の結界もなくなり化物が放たれましたがこちらは寒いのでほとんど飛んで来ませんし、やることはありません」
「暗黒大陸の結界が無くなった、ってことは領地を増やすチャンスだろ。兵隊はどうしているんだ」
「それもいなくて、帝国にすべてお任せです」
落胆しているところにエルフが話しかけた。
「領地は帝国に言えばもらえますよ、国民付きで。
ところで地下の装置にすごく興味があります。出来れば国から専門の研究者を呼んで調べさせたいのですが」
「あれの設計図が図書室にあるから、エルフなら見せてもいいだろう。完全に壊れたらもう私達では修理できないから、その時は修理してくれるなら地下まで連れていってもいいよ」
「ありがとうございます、では後日またうかがいます」
エルフは嬉しそうに帰っていった。
「あのエルフは国の警護を続けてくれるのかしら」
「私が帰ってこなければエルフに頼めと後継者に言っておいたから、私が帰ってきたから私達で国を守るんだよ」
「でも化物も来ませんし、人族も誰もたずねて来ませんよね?」
「そうか?人族は結構来ていたぞ。まあいいや、私はしばらくのんびりさせてもらった後にその帝国とやらに行って話してくるよ。まずはあらためてこの城を案内してくれ」
現在の北の魔女は楽しそうに自分達の城を案内した。
王国と東の魔女の終戦協定が結ばれた。東の魔女と皇帝は今後について話し合っていた。
「こんなにあっさりと終わるとは、拍子抜けです」
「これからですよ、通商条約を結んで交流をはじめないことには、また何か起こるかもしれません」
「そうですか、このままでいいのですが」
「利害で結び付いた方が何もしないよりいいですよ。それで宰相は着任されましたか」
「ええ、王国の魔法士殿のお知り合いのようで優秀な方です」
「魔族の方ですね、なかなか魔界からでて来ない一族の方達なので私達も期待しています。中央にいる帝国の宰相ともぜひ会ってもらって意見の交換をしていただきたい」
「はい、もう到着している頃でしょう」
暗黒大陸中央では宰相同士の話し合いを行っていた。
「戦争をしないで王国を侵略するのですかこれはおもしろい」
「いや侵略はしません、通商よって経済的に結び付けます」
「それをもって侵略するわけですね」
「お互いに特をするわけですから侵略にはなりませんな」
「お互いに侵略しあうわけですよね、これは高度な侵略です」
「まあ一方のみの状態を見たら侵略ですが双方の利害を打ち消せば侵略とは言いません、そもそも土地を奪い合っていませんから」
「侵略という言葉を使いたくないのですね。まあ相手方にとっては屈辱的な意味としてとらえられますからな。そこまでしないといけない謀略ですか」
「謀略と言うのではなく公開されたルールのもとで行いますからあからさまに相手をおとしめる訳ではありません」
「緻密な謀略ですな」
「自然と枠におさまるようにする作業ですから、緻密に謀略するわけではありません、あくまで友好的に」
「お互いにルールに乗っ取って謀略するのですね」
「それを私達は駆け引きと言います」
「それでは命のやり取りは無いのですね」
「よほどのことが無いかぎり命のやり取りはありません。この駆け引きは相手を殺してしまうと終了しますから基本殺しません」
「なるほど少しわかってきました、バランスを保つのですな。そこで差益をえる。そういうことですね」
「え・・そう言うことです」
「では相手が売り物を何も持っていない場合はどうします、滅ぼして奪いますか」
「その場合でも何かしら、例えば労働力があればそこで何か作るようにお願いします」
「国ごと奴隷にするわけですな」
「奴隷にするわけではなく仕事を作るんです、対価を払ってお金儲けをしてもらいますから奴隷ではありません」
「ハッハッハ、だいたい魔術士様から聞いていた通りです。ですが色々と利益を持ちあっていますね、裏切ることができません。裏切ると振り出しに戻りますから、同盟に近いかな。それと色々と意地悪な質問をしましたが私達はマーラ様を信仰していますから殺しあいの戦略はいたしませんよ、よほどのことが無い限り」




